第27話

「ここにいるのか? おれたちの集落より北側だな」


「ええ、この森ですね」


 おれとネオンは二人フェアリーがいるという森にきた。 デュセは渋ってついてこなかった。


(何かあると絶対についてくるデュセが、あんなにいやがるとは) 


「それにしても、その服かわいいね」


「えっ? は、はい...... デュセと一緒に出掛けた町でみかけて......」


 そう照れたようにスカートをつかんでいる。


(でも森にこの格好だと危ないな)


『それは口にはださないでくださいね』


(どういうこと?)


『わからないならかまいません』


(へんなの?)


「そんなに身勝手なのフェアリーって」


 何かもじもじしているネオンに聞いてみる。 


「そ、そうですね。 私は直接みたことはないのですが、そう聞いています。 姿を消してイタズラしたり、協調性がなくて、他の種族にちょっかいだしたりして煙たがられてますね」


(精霊ちゃん。 妖精と精霊はちがうの?)


『精霊も妖精も自然界に集まる魔力で生まれており、おもに正の力が核となっているのが精霊、妖精は負の力が核になっていて、小精霊が自我を持っているのが妖精といっていいと思います』


(正と負の力か...... おれの小精霊が自我をもつみたいなものか、精霊ちゃんはなんなの?)


『私は神により作られた大精霊です』


 自慢げにいった。


(大精霊だったのか...... すごいドヤってるのが言葉でわかるな)


「でも、こんなに遠いの」


「いえ、もう彼らがすむところに入ってるはずですが...... 集落のようなものがあるかどうか)


『ずっと魔力は感じていますが、かすかで...... おそらく魔力も隠蔽できるのかもしれません』


 その時、突風が吹く。


「きゃあ!!」


「ネオン」


 その声でネオンの方を振りかえると、スカートがまくれ上がっていた。


「のあ!! ごめん!」


「ひぁあ!!!!」


「ま。まって!! それは!」


 ネオンの魔力は暴走して天から光の柱を地面にたたせた。 


「この魔力はヤバい!!」


 その時、羽のはえた小人たちは姿を現した。


「うわぁぁ!」


「ひぃぃ!!」


 そういって驚いた小人たちは森へとにげていく。


「落ち着いて! ネオン!」


「ひぁ、は、はい」


 ネオンは落ち着き魔力をとめると光の柱は消えていった。 光のあとが焼け焦げたチリになっていた。


(ヤバかった。 直撃してたら、死にかけたかもしれん...... なんて魔力だ)


「だけど、みつけた。 あいつらだな」


『ええ、驚いて魔力がとけたみたいです。 この奥にいます』


 おれたちは奥へと進んだ。


「これは......」


 そこには大木があり、鳥の巣箱のように小さな家が幹と枝にくっついている。

 

「お前たち! なんなんだ!」


 そう声をかけられ見ると、羽のははえた小人たちが前に浮かんでいる。


「フェアリーか。 おれたちは話にきた。 族長をだしてくれ」


「なに? 私にようなの?」


 眠そうな目を擦りながら、勝ち気そうな少女のフェアリーが掻き分けてでてきた。


「あんたたち一体何者? ここにこれるなんて」


「おれはマサト、ゴブリン、コボルト、アルラウネ三種族の盟主をしている」


「ぷっ! あははっ! うそだ! 人間が三種族の盟主だなんて」


「でもよリーシェ、あれゴブリンにコボルトだぜ」


「さっきすごい魔力を放ってたよ」


 そう口々にフェアリーがいった。


「んー、本当ね。 確かにコボルトね。 さっきの魔力も、あんたらか...... まあ、ここにはいれたんだから悪意はないようだけど...... で、その話が本当だとして、なんのようよ」


「ああ、魔王の復活をたくらむ奴らがいるから、おれたちと仲間になってくれないか?」


「魔王の復活......」


「リーシェ、もしかして、このあいだ、ここに入ろうとしたやつらじゃない?」


「ああ、黒いローブのやつ...... か。 何かゴーレムを連れてたわね」


(ゴーレム、やはりあいつもやつらの仲間か)


 王を狙ってきた大柄な男の無表情な顔が浮かぶ。

 

「まあ、私たちには関係ないわ。 魔王も人間も、モンスターもね。 私たちは好き勝手して生きるの。 面倒ごとはごめん被るわ」


 そういって去ろうとした。 


「でも、ここも危険なんです。 あのものたちはここを放置するとは思えません」


 ネオンは必死にそういった。


「ふん、見くびらないでよね。 この間もその黒いローブのやつなら、追い返したんだからね。 さっさとかえったかえった」


 余裕の顔でリーシェはこちらをみて笑う。


 その時、大きなガラスが割れるような音が聞こえた。


「これは...... 結界が」


「大変だー! 結界が割られちゃったよ!」


「もう終わりだーー!!」


 フェアリーたちがパニックになってる。


「大変だよ! あの黒いローブのやつが入ってきちゃった!」


 森からフェアリーが飛んでくる。


「みんな落ち着きなさい! 精霊を出して! 迎え撃つわよ!」


 そういってリーシェは森の方に飛んだいった。

 

 次々とフェアリーたちもついていく。


「おれたちもいこう」


「はい!」


 おれたちもフェアリーたちについていった。


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