第26話
「なんで私たちが人間をまもるのよ」
ぶつくさとデュセがいう。
おれたちは王の警護に加えてもらい。 すこしはなれて王さまの視察をみていた。
「まあ、戦争が起これば、おれたちの商売もうまく行かなくなる。 服とか靴とか、帽子とかアクセサリーは手に入らなくなって、美味しい料理とかお菓子も食べられなくなるよ」
「うっ......」
デュセは言葉につまる。
(デュセは洋服がすきだし、人間の料理が気にいってるし、、これで少しはやる気になるだろう)
「しかし、本当にモンスターの増加と関係があるのでしょうか?」
ネオンがそう不安げにきいた。
「わからないな...... コゴル頼んでいた手紙は」
「ええ、こちらにきていたアプラさまに渡しておきました。 じきにサクトさまが連絡してくださるかと思います」
(それまちか......)
「きたわよ」
デュセのみている方向から王さまが手を振りながら群衆の中にいる。 その前にはアルデアも周囲を警戒していた。
『感じます...... 王の前方、アルデアのすぐまえです』
「アルデア!! 前を切れ!!」
おれの声に反応して、アルデアはとっさに抜いた剣をふるう。
ローブの切れはしが宙をまった。 そこには大柄な黒いローブの人物がいた。
「気づかなかったわ!」
「みんな下に!」
おれたちはアルデアの元にちかづく。
「......こい」
ローブの人物が感情なくそうつぶやくと、石畳がもりあがり人の形となる。
「こいつはモンスター!?」
『ゴーレムです。 魔力でつくった人形です』
さらにゴーレムが三体現れた。 町の人たちは騒然としていた。
「ネオンは魔法で守って! コゴルは住民の退避を! おれとデュセとアルデアでゴーレムと黒いローブを抑える!」
「はい! みんなを避難させます!」
「周囲に防御魔法をかけました! 回復のために後方に回ります!」
コゴルとネオンは住民を避難させている。
「マサト、アルデアいくわよ!」
「ああ、おれはゴーレムをやる!」
おれたちはゴーレムと黒いローブを対峙する。 王の護衛の騎士たちもゴーレムと向かい合う。
「いけ......」
ローブの人物がつぶやくと、ゴーレムたちがその巨大な腕で、地面を砕きながらこちらに迫る。
「リーフスラッシュ!」
デュセは鋭利な葉っぱを大量に放ち、アルデアはその足を斬りにいく。 おれももう一方の足に切りかかる。
「くっ! 固い!」
ゴーレムの表面こそ浅く傷はつくが深く剣は入らない。 周囲の騎士たちもおされていた。
(デュセの魔法やアルデアの剣、おれの剣で切れないなんて)
『おそらく内部の魔力の核がゴーレムの表面を魔力でコーティングしています』
「魔力のコーティング、マジックオーラみたいなものか。 しかたない試してみるか」
おれは剣を構えゴーレムに振るう。 ゴーレムの片足は切断され態勢を崩し倒れた。
「倒れたゴーレムに攻撃を、おれはゴーレムの動きをとめる」
おれは残り二体のゴーレムの足を切り裂き、地面に倒した。
「............」
黒いローブの人物は逃げようとする。
「逃がさないわ!!」
刃となった葉っぱが黒いローブをとらえる。
ローブのフードがとれた。 その姿は無表情な男だった。 男は姿を消した。
「どこだ、精霊ちゃん」
『高速で離れていきます。 これは精霊をつかっているようですね』
「精霊...... 仕方ないゴーレムをやるか」
おれはみんなとゴーレムをたおした。
「お前がいてくれて助かった!」
アルデアはそばに駆け寄る。
「ああ、王は?」
「大丈夫だ」
その時、アルデアを呼ぶ声がする。
「おれは警護にもどる」
そういうと笑顔のアルデアは手を振り、隊列に戻っていった。
「それにしても、よくあんな固いのきれたわね」
デュセがそう驚き、ネオンがうなづいている。
「マジックオーラだけじゃないですよね?」
「うん、アルデアの使っていたマジックブーストも併用して使ったよ」
「あんな操作を...... 僕もやってみましたが、なかなか難しかったです。 すごいです! マサトさま!」
コゴルが感嘆している。
「なれないとモンスターには難しいね。 魔力の出力がおおきすぎるから制御も難しい。 でもできなくはないと思うよ」
「でもあいつなんなの? あんな近くまでこないまでわかんないなんて」
「ええ、姿を消す魔法なんて、モンスターも人間も使いませんし......」
デュセとネオンは考えている。
「よくわかりましたねマサトさま! さすがです!」
コゴルがキラキラした目でこちらをみている。
(いや、おれじゃなくて精霊ちゃんなんだけど...... でも精霊ちゃんあれなんなの。みんな知らないっていってるけど、バグラも使ってたよね)
『おそらく光の精霊じゃないかと......』
(光の精霊)
『光の精霊は光を操ります。 それで光を屈折して姿が見えなかったのかもしれません。 それにあのゴーレムの核も精霊ですね。 いえ妖精に近いのかも』
(妖精...... フェアリー)
「そういえばおれたちの領域にフェアリーっていたよね」
三人が露骨にいやな顔をした。
「だめよ。 あいつら仲間にするのは」
「なんでだデュセ」
「とても集団行動できるタイプではないんです」
「ええ、イタズラばかりするので......」
そうネオンとコゴルも同調する。
「でも、あの姿を消すことと関係があるかもしれない。 とりあえずあってみたい、できれば仲間にするよ」
おれはフェアリーに会いに行くことにした。
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