第8話
「さて、試してみるか」
おれは部隊長のホブゴブリンの遺体に触れると、【創造】《クリエイト》で変化させる。
『魔力を感じて凝縮してください』
(魔力...... この流れているように感じる力か)
おれが力を使い握るように魔力を凝縮すると、ゴブリンの体は光りひとつの赤い結晶になった。
「オオオ!!」
ゴブリンたちから驚きの声があがる。
(これが魔力結晶、ただ暗くとてもいやな感じもする)
『それは負の力、破壊の力です。 あなたの力で正の力へと変換してみてください』
(嫌な感じを、いい方に......)
おれは暗くいやな感じを何とかいい方へと向かわせた。 すると赤い結晶は青く輝いた。
『ええ、これで正の力になりました』
「ふぅ、うまく使えたか」
「マサトさま! それを私に与えてもらえませんか!」
サクトがそういった。
「えっ? これを」
「先の戦いに勝ったとはいえ、ゴブリンキングの兵は残り900はいます。 再びここを襲ってくる。 我らには力が必要です。 その力を皆で得れば勝機がでてきます!」
ゴブリンたちは皆さわぎだした。
(確かに...... ただこれつかっても大丈夫)
『ええ、負の力のまま使えばとても危険ですが、その結晶ならば大丈夫です』
「なるほどじゃあ使ってみるか」
おれは結晶をサクトの胸に当てて、【創造】《クリエイト》をつかった。
結晶は光りになると、サクトの胸に吸い込まれていった。
「おお! 魔力がみなぎる!」
サクトのその体は光輝くと、一回り大きくなった。
「ゴブリンエリートになったようです!」
そうサクトが話した。
「ゴブリンエリート?」
『ホブゴブリンが進化したものです。 魔力と力が増しています』
「強くなったのか、問題はないみたいだな。 じゃあ他のものたちにも作った魔力結晶を使ってみよう」
次々ゴブリンたちの遺体から魔力結晶を作り出し、ゴブリンたちに与える。
「オオオ、...... ツヨクナッタ」
そのうちのゴブリンが一人、言葉をしゃべる。
「ほぁ!!? 言葉をしゃべった!!」
「ええ、知能があがり、言語を発することができるようになったものもいるようですな」
サクトがうなづいてこたえる。 みんな喜んでいるようだ。
「そんな簡単に能力があがんの? じゃあおれも魔力がたまれば、姿や頭がよくなるの?」
『いえ、あなたの場合は姿や知能があがることはありません。 これはモンスターなどの特性です』
「なんだ...... まあみんな魔力があがったようだ。 でもとても900の軍勢とは戦える気がしないな」
「私もそう思います...... 彼らの敗走がしれればまた攻めてくるでしょう。 彼らを敗走させるほどの魔力をもっているということですから」
ラタナはそう困惑した顔をしている。
「ならば伝わる前に奇襲しては、それならかなり有利に戦えますが」
アプラはそう提案した。
「奇襲か...... 確かにこのまま全軍でこられたら、ここは滅ぶな。 でも軍勢だけじゃなくゴブリンキングもいるなら、たった90人で勝てるとは...... 精霊ちゃん、なんか手はない?」
『これ以上強くするには魔力が必要ですし、すぐに強化は難しいでさょう』
「おれの魔力を譲渡できないの?」
『おそらく可能でしょうが、やめておいた方がいいです。 あなたの魔力はここのモンスターよりはるかに強い。 繊細に与えられればいいですが、いまの魔力を操作ではうまく与えられず、精神に異常をきたすかもしれません』
「......そうなのか、武具を強くしても同じか」
『ええ、その武具の強度が耐えられないでしょうし、仮にできても奪われる可能性もあります。 やはり戦えるものを増やすのがいいのではないでしょうか』
「戦えるもの...... これから他のゴブリンを探すのも難しいけど」
『小精霊を作り出しましょう』
「精霊? 精霊ちゃんみたいなもの? そんなもの作れるの?」
『ええ、ですが神さまがつくられた私とはちがい、自然の魔力を核にして作れます』
「よし! すぐに作ってみよう!」
『まず核をつくります。 やり方は魔力の流れを見つけ、魔力結晶をさらに凝縮する感じです』
(魔力を探知......)
おれはいわれたとおり、そこにあった木に触れると、魔力を探知した。 暗い空間に小さな光の流れを感じる。
(これか...... それを凝縮)
魔力結晶のようにして更に凝縮すると、木の中に魔力の核ができた。
『そうです。 そしてそこにあなたの魔力をそそぎ込んで...... ゆっくりですよ』
(ここに魔力を......)
その瞬間、目の前の木が弾けとんだ。
「うおっ!?」
『魔力の加えすぎです。 耐えられずに爆散しました......』
(これ難しい...... もしこれをゴブリンたちにしていたら)
『弾けていました。 生物は更に繊細に魔力を与えないと無理でしょうね』
(やんなくてよかった...... じゃあもう一度)
それから何度か木を弾けさせながら、やっと成功した。
「でも動かない」
『いえ、みててください』
木はゆっくりと根を地面から抜いてあるきだした。
「おお!!」
『できましたね!』
「動くただの木だけど」
『自然から魔力を得ているので、魔法を使えます。 あなたの概念でいうとロボットに近いです』
「そうか ......そんなにつかれてないな」
『ゴブリンたちからの信頼が大幅にあがって、あなたの力が増大したからでしょう。 最初ならつくることもできなかったと思います』
「そうか、神として強くなってるのか...... これを量産すればいいの」
『ええ、ですが木だけではなく。 土、石、火や水からも作った方がいいです』
「そんなものからも作れるのか...... よし、やってみよう」
おれはそれからさまざまな小精霊たちを作り出していった。
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