第100話 やる気の無い悪役令嬢の真実です

 そうして、ネリーは俺とルビアの方へ向き直って、笑顔を見せた。


「本当にありがとうございました。貴方たちのおかげで、ようやく悲劇を止める事が出来ました」


「ああ、これで解決だな?」


「はい。悪役令嬢様もうまくかみ合ったようで、良かったです」


「…………ふえ?」


 状況を掴めないルビアは、首をかしげていた。


「最強の戦士をこの世界に派遣しようと思ったのですが、それだとメイズの障壁に弾かれてしまうんですよね。障壁は『戦士』を弾くように設定されていたみたいです」


 メイズはチート能力を持つ戦士に対して警戒をしてらしい。

 だから、ネリーもうまくこの世界への援助ができなかった。


「でも、メイズは悪役令嬢の関しての『知識』がまるでなかった。だから、この方法なら強力な人間を派遣できると考えました」


「え~」


 それを聞いたルビアがげんなりとした表情となっていた。


「なんであたしがそんなのに選ばれたのさ~」


「だってあなた、そもそも悪役令嬢の優位性に全く気付いてなかったでしょ? 多分、本来の世界に転生しても、失敗していましたよ」


「う、確かに……」


 初めて会った時のルビアを思い出した。

 確かにあの精神状態では、たとえ正しい世界に召喚されても、成功はしなかっただろう。


「勇者と接触させることで、良い変化が現れると期待したのですが、思った以上に効果があったようですね」


 結果的にはルビアはこの世界に来れてよかったかもしれない。

 俺たちの話を聞いているフィオナさんをはじめとする他の連中は完全に困惑していた。


「ニーナ様、これは何の話なのでしょう。ルビア様は何を話しているのでしょう?」


「私もさっぱりわかんないよ。グロウ様とルビアさんは理解しているみたいだけど。キラーは分かる?」


「分かるわけねーよ。神の世界の話だろ?」


 二人の話を聞いて、カイルはため息をついていた。


「やれやれ、そういう事だったのか」


「カイル様、この話を理解できるのですか?」


「ああ。だが、ダイアは分からない方がいい。僕たちには知る必要のない内容だ」


 この世界の本来の主人公であるカイルだけは、なんとなく察しているようだ。

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