第87話 悪の天使さん、ガチのチートです
さっきからずっと首を傾げているルビア。
「えっと。全然状況が掴めないんだけど??」
「簡単に言えば、あいつは悪の天使で、俺たちをこんな目に遭わせた元凶だ」
「つまり、あたしがだらだらできないのは、こいつのせいって事?」
「そうだ。全部こいつが悪い!」
いや、ルビアのやる気に関しては、全く関係ないんですけどね!
もうこいつが悪いって事にしておきます。
「おのれ。あたしのだらだらライフをよくも……許さん! ぶっ殺す!!」
ルビアが今まで見たことも無いレベルで怒っていた。
ちょっと八つ当たり感もあるのだが、それは言わない事にする。
「何を言ってるのか全っっっっ然わからないけど、あの変なのを倒せばいいんだよね。グロウ様?」
「そうだ。あいつが全て仕組んだことだ」
ニーナはアビスちゃんのパンを食べて、体力が全快していた。
ここからは強力な戦力として役立ってくれる。
「承知いたしました。では、神退治と参りましょう」
「カイル様を利用した報いを……受けろ!!」
フィオナさんにダイアまでも俺たちに力を貸してくれるみたいだ。
「我を倒すつもりか? 愚か者が!!」
そうしてメイズが手をかざすと、その手に光の玉が出現した。
その光の玉はゆっくりと浮遊して、メイズの隣で従うように浮いている。
「これは『神の精霊石』じゃ」
「なに!?」
神の精霊石。
それは原作で『設定のみ』存在した伝説のアイテムだ。
手にした者は無限の魔力を得られるという。
作中では伝説の秘宝として語られていたが、その存在は謎に包まれていた。
作者ですら持て余す設定と言えるレベルだ。
それをメイズは持っていた。
こいつ、なんでもありか!?
「今の我は無限の力を手にしておる。残念だったの」
メイズが煽るように笑う。
「様々な試練を乗り越え、その先で待つは破滅。ほほ、ようやく良いシナリオになってきたの。これまでの駄作ぶりが嘘のようじゃ」
精霊席に膨大な魔力が溜まっていく。
それはルビアの魔力量をとっくに超えていた。
「これは……あたしでも無理だ」
「みんな、散れ!」
俺の言葉で全員が散開した。
そこにメイズの魔力が解き放たれる。
その威力は地面を薙ぎ払いながら、地平線の彼方まで届いて山を一つ消し飛ばした。
「くそ、こんなの勝てっこないぞ」
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