第71話 これにて完結です?

「助かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 俺とルビアは生まれて初めて出すような大声で叫んで、その場にへたり込んだ。


「お疲れ様です、ルビア様」


 その様子をフィオナさんがねぎらっていた。


「いや、本当に助かったよ」


「ふふふ、いい感じに悪役令嬢してたでしょ?」


「はは、よく頑張ってくれた」


「む? 本当に感謝してる?」


「してるよ。ありがとな」


 やる気の無い悪役令嬢がここまで頑張ってくれたのだから、感謝しかない。


「ま、まあ、クソ勇者が死んだら、目覚めが悪かったし」


 やはりルビアと組んでよかった。

 悪役令嬢の名は伊達じゃなかったわけだ。


 こうして俺のざまぁは回避された。

 死亡フラグは完全に折れたのだ。


 これにて解決。

 めでたしめでたしだ。

 だが、俺はカイルが去り際に言った言葉が気になった。

 それは聞き間違えかと思うほど、小さな声だった。




『まだ、僕の復讐は終わってはいない』




 どういう意味なんだろう。

 全てが解決したわけじゃない。むしろここからが本番だ。

 そんな嫌な予感が頭から離れなかった。

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