最終章 神々の遊び
第72話 これが真実です
「……ん?」
俺は気付けば知らない場所にいた。
ただただ、真っ白な空間。
妙に靄が掛かったような、そんな場所だ。
雲の上、というべきだろうか。
俺は確か自室で寝たはずだったが。
これは夢か?
その割には妙に意識ははっきりしているような……
「いや、待てよ」
一度だけ来た覚えがある。
俺が現世で死んだその直後だ。
つまりここは死後の世界。
俗に言う天界と言う場所なのだろう。
「ごめんなさぁぁい!」
「む?」
いきなり小さな女の子が飛びついてきた。
少女ではあるが、その背中には羽が生えている
『天使』と形容するのがピッタリだった。
「あ! お前は! ネリーか!」
彼女の名前はネリー。
俺を転生させた張本人である。
見た目は子供のようだ。
だが、本人によるとれっきとした『天使』らしい。
つまり、神の御使いであるというわけだ。
「わ、わ、私。やってしまいました!」
ネリーはひたすら涙を流している。
まるで子供みたいだ。
ずいぶんと精神年齢の低い神である。
「やってしまったって、なんだ? …………まさか」
「はい。『間違った転生』をしてしまったんですぅ! ふええええん」
その言葉に俺は真っ先に反応した。
「やっぱり、間違いだったのか!」
そうだ!
俺はそれが聞きたかった。
「俺が『クソ勇者』に転生してしまったのは、ただのミスだったんだな?」
つまり、これは天使側の手違いだったのだ。
俺が前世で何か悪い事をしたわけじゃなかった。
「間違った転生っていうのは、具体的には何が起きたんだ?」
「わ、分かりません。恐らく『同族』の仕業だと思います」
つまり、ネリーと同じ天使族の誰かが、俺を陥れるために勇者に転生させたって事か?
「なんだよそれ、天使にもそんな悪趣味な奴がいるのか?」
「はい。天界を脱走した犯罪人です」
おいおい。天使にも犯罪とかあるんだな。
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