第69話 悪役令嬢、オーラを出します
「こ、この女、凄いプレッシャーだ!?」
カイルがかつてないほど困惑している。
一つはルビアの『魔力』だろう。
「しかも……悪役令嬢だと? なんだそれは? 貴様は何を言っているんだ??」
そしてもう一つ。
まあ、強さもそうだけど、自らを『悪役令嬢』と名乗るルビアに対してだろう。
確かに自分で『悪役』なんて名乗るとか、一般人から見たら明らかに常軌を逸脱している。
でもルビア、俺を助けに来てくれたんだな。
それは正直に嬉しい。
嬉しいのだが……
「ふふふふふふ」
だ、大丈夫なのだろうか??
今は不敵に笑っているルビア。
だが、よく見なければ分からないが、顔中が汗まみれである。
だが、凄く頑張ってくれているのはよく分かる。
きっと知らないなりに『悪役令嬢ムーブ』勉強してくれたのだろう。
そのオーラをを全身から放出して、カイルを追い払おうとしてくれている。
ただ、正直に言うと違和感が凄い。
にわかっぽさの放出の方が印象が強いし、あまり効果的なけん制力は発揮していないように見える。
そう見えるのだが……
「く、ぬうう!」
なんと、実際にカイルは混乱していた!
やはり悪役令嬢補正みたいなのは存在して、一定の効果は発揮しているって事か!
「こ、この小娘が!」
ダイアがルビアに向けて攻撃魔法を放とうとする。
だが……
「誰に、攻撃をするおつもりですか?」
ダイアの首元にはすでにフィオナさんの短剣が添えられていた。
「っ! 早い!」
まさに目にもとまらぬ早業。
あのカイルですら反応できなかった。
ことスピードにおいては、フィオナさんはカイルのチートを上回っているようだ。
「く、次から次へと……本当に貴様らは何者なんだ」
「悪役令嬢でございます」
「ただの侍女でございます」
丁重にお辞儀をするフィオナさんとルビア。
二人が揃うと更に異質な雰囲気が醸し出されていた。
短剣を首元に当てながらのお辞儀。
そんなフィオナさんは一見、完全な無防備に見える。
だが、まるで隙は無い。
下手に反撃でもしようとすればその瞬間、少なくともダイアの首は掻っ切られるだろう。
ルビアについては……うん、完全に隙しかないのだが、相手は戸惑っているのでそれに気づけない。
まさか中身がやる気ない16歳とは思うまい。
「貴様ら、なぜ僕の邪魔をする?」
「その勇者様は、わたくしの婚約者でございます」
「はあ!?」
カイルとダイアから同時に声が出た。
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