第4話 お泊り会しよう!
「美紀ってばいい子ねぇ」
そうりりあが言った。
「だって……あのままじゃ私がもやもやするし」
「だからってわざわざ本人に自分の過ちを申告するなんて。言わなきゃ分からないのによ? なんて誠実な態度」
桐谷くんのことを変人だと言った時から、美紀はずっと申し訳なく思っていたみたい。
「でもこれですっきりした」
「悪い子じゃないでしょ? 桐谷くん」
「話してみたらふつうだった。……ねぇ、美紀。美紀って桐谷くんのこと、好きなの?」
「う〜ん……クラスメイトとしては?」
「あ、そうなんだ」
「なんでそんなこと聞くの?」
「だって美紀、桐谷くんのこと話す時と他の男子の時と、ちょっと態度違うもん」
「そう?」
「うん」
「だとしたら、きっと優しくしてもらったからだわ」
「そうなの?」
美紀が首を傾げる。
「うん。美術の時間に鉛筆忘れたら、自分も一本しか持ってきてないのに貸してくれたの」
「いい奴じゃん、桐谷」
「素敵ね」
りりあがふふっと笑う。
「美紀は昔から、優しい人が好きだものね」
「そうだなぁ……って、あくまでクラスメイトとしてね」
「うふふ、そうね」
美紀がふくれっつらをする。
「なんか嫉妬」
「なんで?」
「私の綾音だもん」
「あらら、美紀ちゃん」
りりあが美紀の肩に触れた。
「またヤキモチ焼いてるのね」
「ぶーっ」
りりあは菩薩のような笑みを浮かべた。
「そうだ、お泊り会しましょ。うちの親戚に、旅館を営んでいる夫婦がいるの。近くには海があるわよ」
「えっ最高じゃん」
「桐谷くんとこのグループも誘うわ」
「……えっ!?」
「な、なんで!?」
「実は私と板垣唯斗くん、幼なじみなの」
美紀がひっくり返った。
「どえぇ〜! 新情報!!」
「そ、そうなの? りりあ」
「クラスじゃ話さないけど、帰り道一緒になったりするわ」
「なにそれ! なんで今まで黙ってたの!?」
「だって、聞かれなかったからよ」
「ひえぇ……あたしたち、友達だよね??」
「当たり前じゃない」
りりあはたまに浮世離れした面を見せる。そこが彼女の面白いところだ。
「美紀も桐谷くんたちと仲良くなったら、もう嫉妬なんてしないでしょう」
「わ、分かんないけど……」
「美紀、洋楽聴くでしょう? 雨宮くんと話合うかもよ」
「そうなの? えぇ〜男子と喋るのかぁ……」
「美紀ちゃん、早く高校生になりなさい。今時男子嫌悪してるの美紀ちゃんくらいよ」
「ひどいよりりあ」
美紀ちゃんが泣きべそをかいて机に突っ伏す。りりあはたまに鬼になる。
「楽しみね、お泊り会」
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