第26話
4月。
今月は、最後にあなたに伝えておきたいことを書きます。
なんの捻りもありません。
3月のあなたの言葉、胸に留めておいたよ。残念ながら、全くの大はずれがいっぱい!
書ける日がバラバラなのと、調子が悪くなる前に書き留めておくために、4月は日付を書かな
いで、書ける元気が残っている内に書きます。ごめんね。
ベッドから起き上がれなくなっちゃった。あなたに会いに行けないのが悔しい。
実は少し前に、余命宣告、受けたの。もうあなたには会えないくらい早く死んじゃうみたい。
でも、私は最後まで頑張って生き切る。
思い返せば、あなたは最初に会ったとき、あなたは死の思考にまとわりつかれてた。そう思う
と、今はちょっとは楽?私がいることで、気持ちを話せる相手がいたからかな。
でも、それは実は私もだったんだよ。死のことばかり考えてた。あなたとはちょっと理由は違
うけど、話せる相手がいて救われた、ってことは一緒だね。
私は気持ちは本当の気持ちは、ずっとあえてあなたに言えなかった。その訳は、5月1日に私
の火葬があるから、そこで話しかけてくれたひとに聞いて。そこで、本当の気持ちの手紙も預
けてる。あなたを招くように、伝えてるから、来てくれることを願ってるね。
私が気にしているのは、私が死んだ後、あなたが私を追いかけて死なないか、ってこと。
生きていることが、ものすごく辛いひとに、生きるのを楽しめ!って言っても響かないのはわ
かってた。
前も言った通り、生きたいのに生きられないひともいる、だから命を大事にしろ!っていう気
持ちが生きたくないのに生かされているあなたにわからないのが、出逢った私たちの難しいと
ころ。
だって、本当に真逆。それで最終的にわかり合えた、かはあなたはどう思っているかはわから
ないけれど、私はあなたといられて楽しかったよ!十分わかり合えたと思う。
あなた私に、「生まれつき楽観的なんだろうな〜」って言ったあと「僕の気持ちを察してくれ」って言ったの!あれは面白かったよ!嫌味じゃなくストレート。答えはいつかわかる!
私は昔から、病気で死ぬかもしれなくて、逆に、生きているのが、ものすごく辛かった。死、のことばかり考えるしか出来なかったから。それで、前ちょっと言ったかな。それで昔リストカットして深くなって縫われて、精神科の隔離室に入れられた。そんな私を今知ったあなたはびっくりかな?でも、あなたに会う前まで、私、そんな感じだったんだよ。本当に。
私は、あなたと違って病気で何もしなくても死んでしまう。生きたくても生きられない。だから辛かった。でも、あなたは生きたくないのに生かされている、って言ったね。私は、まあ、当たり前といえるけどすごく怒りも正直あって腹が立った。それながらも、立場が違うだけで、私にも起こり得た病気の考えなんだ、って思い直すようになった。あなたはそう思っている。誰でも深さは違うけど、死にたい気持ちに襲われるときがある。その瞬間を越えて越えて、超え続けるんだよ。それでも襲われるなら、無視して楽しいことを無理矢理考える。それは、私があなたと出逢って初めにやった、無茶苦茶でもポジティブになる方法。
私のこといつか聞かせて、って言ってた約束。ちょっとは知れたかな?
3月31日。最後に会えなかったのは、本当に残念。でも、よかったのかも。余命宣告されて、お別れを言わないといけなかったから、あえて言えなくてよかったかな。実際に最後に会えた前の月は、喧嘩別れみたいになっちゃってごめんね。
あれから体調を崩して、精神科に訪ねることも出来なくなってしまったんだ。
あなたのことを思いながら、ずっと過ごしてた。
いつか小児科に尋ねに来てくれるのを、私は待つしか出来なかった。
結果、あなたは現れなかった。
私の体力は日に日に落ちていてて、もうすぐノートも書けなくなると思う。
あと、私の遺言を頼りに生きていってくれるのはすごく嬉しいんだけど、あなたには未来があ
るから。私にずっと執着しないで、新しい愛するひとを見つけてほしいな。
私は、あなたのことを忘れないし、お空から応援してる。
5月1日の封筒には、写真も入れとくね!メリクリの写真!あ、大晦日か。
楽しかったね!いや、楽しませてくれてありがとう!私はあなたと出逢えて、幸せだった!
嬉しい思い出を、ありがとう!
じゃあ、そろそろいくね。幸せになったおじいちゃんのあなたと、再会できる日まで!
またね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます