第12話
9月。
9月1日 自分が特別な存在だ、とか、ほぼ、あり得ないことなんだ。 だって他のひとが、そう言っても、ないない!って思うのと一緒のこと。
9月2日 何もしなくて、自分は特別だ!とか、客観的に見て、イタイだけだよね。偉人とかが、やっと言われる存在で、でも特別って、こだわらなくていいことかな。
9月3日 大好きなひとの特別になりたい。それがこの世の、たぶん幸せなことだと思うようになった。
9月4日 僕なんかが幸せになっちゃいけないんだ。僕には死ぬ道しか用意されていないんだ
よ。
9月5日「生きたくても生きられないひとの気持ちとか考えたら?」ってよく言われる。口に
は出さないけれど、君もきっと、そう思っているのだろうな。
9月6日 夢を見た。眠っているときに、白昼夢をよく見る。内容ははっきり覚えてないけれ
ど、半分本当のように幸せが見える。現実世界で起きているときのこれからの夢はない。
夢、関係ない言葉。眠りの夢と、将来の夢。別のものだ。
9月7日 忘れたことは、無理に思い出そうとしても、時間と労力の割に、思い出せない。忘
れるべきだった、必要なら思い出す。一旦、割り切り、開き直ってみた。
9月8日 君の感じている感覚がわからない。僕みたいな死にたいやつを拾って、責任で手放
せなくなっているのか?そうなら僕を捨ててくれていいよ。僕はお世話になりたくない。
9月9日 迷惑をかけるひとに、なりたくないと思う。仕方ないものを、手伝ってもらうこと
はいい。 でもそれを、当たり前だとか、いいでしょうとか、思うようなひとには、ならないで
いたい。
9月10日 相手に対して、ありがとう、ごめんなさい、を忘れずにいたい。知らず知らずのうちに、偉ぶったり、当たり前でしょ、と振る舞う自分がいたり。
9月11日 入院中なんて、何もすることがない。この時間は、僕からしたらただの延命装置だよ。生きたいひとに、聞かせるべきじゃない話だけど。
9月12日 辛い苦しいことを乗り越えろ、って言われるけど、もう疲れたんだ。未来が見えない。
9月13日 僕は君の思考回路がわからない。理解が出来ない。でも、客観的に考えれば、君の方が僕の思考を理解出来ないのだろう。
9月14日 薬が変わった。調整中らしい。僕に出来ることは、毎日を過ごすことしかない。
9月15日 止まない雨はない、っていうけど、今降っているこの雨が、どうしようもなく辛いんだよ!
9月16日 僕の命に、君みたいな価値はない。君は病気でありながら、輝いている。もうすぐ退院とかするのかな。
9月17日 人生は失敗ばかり。失敗は成功のもと、なんて嘘だ。失敗ばかりして、打ちのめ
されて、不幸せでしかない。
9月18日 給食は薄味。おやつの時間は今日はジュースだけ。成長期には物足りない。
9月19日 わかりあえないひとと、わかりあいたいと思うかは、そのひとといて、楽しみな
希望を持てるか、だと思う。意見も合わないわかりあえないひとでも、嫌いじゃなくて興味が
あれば、お互い話しあいが出来ると思うんだ。そこで価値観が明らかになる。
9月20日 ひとを許して、大きな心を持って、たくさんのひとと仲良くなれたなら。でも、器の大きさに似合わない努力は、疲れるだけなんだな、って諦めてしまった。僕と違って、君は、嫌、とか誰にでも言えないような優しすぎる子だ。
9月21日 イライラが爆発しそうだ。何が特に原因でもなく、朝からどんどん積み重なって
今。頓服はもう飲んだ。暴れないように必死で気持ちを抑えて、ちょっと布団にくるまってみ
る。
9月22日 世界に出ていったら、知りたいことはたくさんある。でも僕には無理かな、ただ
の無駄遣いかな、とか理由をつけて諦めている。
9月23日 大人になったら、疲れて働けない、っていう社会的弱者になりそうだ。病気持ちで障害者年金で暮らして、しらーっとした目で見られて。白い視線は僕にグサグサ突き刺さり、また耐えられなくなって、死にたくなる気がする。それでも疲れてはいけない。弱いながらに、仕事はしたい。こう見えて僕は自分がニートになることに反対なんだ。
9月24日 当たり前のことが、何よりも愛おしい、って、何回言っても、言われても、わか
らないと思う。実際に、不幸になって、当たり前にできなくなって、初めて、ありがとう、っ
て思える、愛しき可笑しみ。
9月25日 夕焼けを生きてゆこう。明けないと怖がる夜が訪れても。悲しみは、永遠に続く
わけじゃない。今を、ただ、そっと生きてゆく。
9月26日 この世界には、色々な命がいて、その全てと、地球上で共存して。傷つけ合うも
のも、泣きわめくものも、わかりあえないとしてもいつか、優しい光に包まれますように。
9月27日 僕みたいなクズ人間。消えてしまえばいいのに。
9月28日 僕は死にたいんだ。生きたい君からしたらウザいだろ?生きる道から、僕は逃げ
ているんだよ。
9月29日 昔の自分が大嫌い。今の自分のことも好きになれない。自分があることが、この
歳まで何も出来ずに生きてきたことが辛い。小6だからまだまだ、って言われるけど、老いな
んて気づいたら来ているような気がする。
9月30日 死にたい、でも死ぬのは怖い。僕も普通に生きてこられたら、こんなに苦しまなか
った。死にたい気持ちに、なりたくてなっている訳じゃない。辛くてたまらないんだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます