第5話

6月〜。ねえ、あなたってどうして死にたいの? 


6月30日交換 〜小児科〜

「よっ!」 

「ひっ!……君はひとを驚かす天才だよ。」 

「読んだけど、大丈夫?だいぶあなた病んでる。」 

「君からすると、余計にそう思えるだろうね。」 

「そんなに死にたい?この世のどこが悪いと思うの?」 

「全部。この世がある、自分がある、時点でもう苦しい。」 

「今までの経歴を述べよ!」 

「親からの虐待で施設に入った。学校ではイジメられた。友達が自殺した。」 

「そりゃ、そうなるよね……。」 

「とか、だったらいいんだけど。」 

「は?」 

「親と上手くいってないけど帰る家はある。学校はイジメはなかったけど居場所がなかった。

友達は自殺する以前に、友達がいない。単なる生まれつきのコミュ症。」 

「へえ。まあ、よかったね!」 

「別に十分、よくねぇよ。」

「あなたにまだ冗談を言える余裕があったってこと!そうだねー、生きる希望がないの?」 

「目的も、夢もない。息をするのが苦痛なレベルだ。」 

「息すると苦しいの?」 

「生きている実感が湧いてくるから。死ぬべきなのに生きていることを突きつけられる。」

「変なの!生きていられる、って、奇跡なんだよ!私は楽しんでる!あっ!お母さんだ!」 

「じゃ、僕はこれで。」

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