男女平等パンモロ

ハンターギルドの職員が喧嘩の仲裁に入った。

「何をしている!外に追い出すぞ!」

「こいつが俺の魔物の牙を盗んだんだ!」

「知らねーよ、よく見てみろよ何処に牙があるんだよ!」

「確かに四本あったのにコイツが押し倒してきて、床に落ちた牙を拾ったら三本しかなかったんだ!」

「最初から三本だったんだろ?俺のせいにするんじゃねーよ」

 訴えている男が持っている牙はそこそこ大きく、大男の姿を見ると隠せる様な所は何処にもない。

「何で俺を泥棒扱いすんだよ」

「俺は知ってんだ!前もここで同じ様に揉めてただろ!」

「だからその時も何も盗んでねーよ。なあそうだよな?」

 大男は職員に聞いた。

「確かに先日同じこと様な事があったが、結局は盗みの証明は出来ていなかった」

「ほら見ろ、だから俺は盗んじゃねーよ」

 そんな言い争いを大男と一緒に入ってきた女は少し離れた壁際でつまらなそうに見ている。

「ねえーまだー早くしてよ」

「すまねえ、この馬鹿がしつけえんだよ」

「何だと!」

「止めないか二人とも!」

「何でもいーから早くしてー」

 どうにも収まる様子は無い。ただ被害を訴えてる男にはどうする事も出来ない。

「だから俺が盗んだ証拠を出してみろよ」

 大男が男を更に挑発する。

「僕が見つけてあげましょうか?」

 名乗りを上げたのはなんとノゾムであった。

「ああ?何だお前?関係ねーだろ?」

 大男はノゾムを睨みつけた。しかしノゾムは一歩も引かない。どんなに睨み付けようが脅そうがノゾムの顔に怯た様子は見られない。

「駄目ですよご主人様!もう出ましょ!」

 一方キャミーは必死にノゾムを止める。服を引っ張り退室を促す。

「ほらそっちのねーちゃんもそう言ってるだろ?さっさとお家に帰りな」

「そうはいきません。被害者が泣き寝入りする様な事は許せません」

 ノゾムは引き下がる事はない。それはノゾムがパンモロ探偵だからである。そのノゾムの自信に縋る様な気持ちで被害者の男は質問してきた。

「本当に分かるのかい?」

「はい」

 ノゾムは笑顔で答えた。

「ちっ、だったら何処にあるか言ってみろよ。俺の何処に牙が隠してあるってんだ?」

「本当に明かしていいのですね?」

 ノゾムは最終確認をする。ノゾムは力を悪用しない様に必ず確認をとるのだ。

「さっさと言えよ!」

「分かりました」

 ノゾムは両手を挙げた。そしてパンツ丸見えのポーズをして睨んだ。睨んだ先にいるのは大男ではなく、なんとその連れの女である。

「え?何?私?」

 女のロングスカートは大きく捲れ上がった。

「きゃー何よこれ!」

 女はセクシーな真っ赤パンツを履いていた。パンツには花柄の刺繍に真ん中に真っ白なリボンが付けられていた。そして足と足の間に立派な牙が置かれていた。

「お、俺の牙が!」

 被害者の男は牙に指を指した。ハンターギルドいた全員が女を見ている。見ているのは牙なのかパンツなのか分からないが全員見ていた事は間違いない。それだけ衝撃的な出来事である。

「実に簡単なトリックです。こちらの大男さんが貴方にぶつかって品を落とさせて、それを蹴って彼女のスカートの中に滑り込ませたんです。後は隙をうかがって盗品を回収するだけ。だから大男さんをどれだけ調べても何も持っていないのです」

 ノゾムの推理に職員は関心していた。職員だけではない、被害者の男も他のハンター達もだ。呆気に取られている職員にノゾムは質問した。

「職員さん?」

「あっはい、何でしょう?」

「この場合、大男さんにはどの様な処罰が下されるのですか?」

「えっと、これまで同じ様な揉め事があったのでそれの聞き取りをしてからですが、被害総額によってはハンターの資格停止と兵士に突き出す事になるかと」

 職員の話を聞いて大男は慌てて入り口に向かって走り出した。

「ちょっと待ってよ!」

 大男は女を置き去りして逃げ出したのだ。それをノゾムは黙って見ているわけがない。それはあまりにも速い動きで、この場にいるどれだけの人間がそれを認識出来たのだろうか。

 パンツ丸見え。ノゾムの手は高速で動き、大男を睨みつけた。

 すると大男のベルトは外れて、履いていたズボンがズルリと下がった。大男は自分が履いていたズボンが急にずり落ちた為勢いよく転んだ。

「うお!なんだこりゃ!」

 その姿はみっともなく、パンツをモロ出しにしたまま頭から床に突っ込んだのだ。

 ハンターギルドの職員が勢いよく走り出して大男を羽交締めにした。大男はなす術なくあっという間に捕まってしまった。

 女も最初から諦めているのか何も抵抗しない。

「ありがとうございました」

 職員はノゾムにお礼を言った。

「いえ、お力になれて光栄です」

「何か欲しい素材があれば是非ハンターギルドにお申し付け下さい」

 そう言うと職員はバタバタ急いで仕事に戻って行った。

「さてキャミーさん僕達も行きましょうか」

「パンモロって男にも出来るんですね」

「そうだよ。誰しもがパンツを履いてるからね。そこにパンツがある限り、必ずパンモロさせて見せるよ」

「あーそうなんですね、ありがとうございます、もういいです」

 二人はハンターギルドから出ようとしたその時、後ろから声をかけられた。

「待ってください!パンモロの人!」

 ノゾムは声をかけられた。振り返ると女性がいた。中々不名誉な名前で呼ばれたがノゾムは気にしない。ただパンモロの人と言うならどちらかと言えば先程の大男と女の方であろう。

「君は?」

 そんな呼ばれ方をされたノゾムだか、不満な顔一つせず穏やかな対応をした。

「チノって言いますさっきの見てて……お願いがあって」

「何かな?」

「実はパンモロさせて欲しい人がいるんです!お願いします!」

 チノの衝撃的な発言にキャミーは寒気がした。それは寒い日にノーパンで外に出てしまって股がスースーする様な寒気であった。

 

 

 

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