第4話 またまた違う人と再会?!

「えっっっっ…………?」

その女の子は、びっくりして声が出なくなった。それでも瑞希は続ける。

「私は、結城先輩と同じ学校からやってきたんです!私は結城先輩の彼女だから、私もこの学校に転校してきたんです!なので今後一切関わらないように!」

「そんな…。それって、依存…じゃないでしょうか?」

その女の子は、もう一回胸を張って言った。

「はぁ?依存?私が結城先輩に?」

瑞希は、短く言うと、

「そんなことしてません!関わらないでください!結城先輩とは、別れてください!私が、結城先輩の正式な彼女なんです!」

と叫んだ。周りの子たちが、瑞希の方を見た。そして、

「え…瑞希さん、何してるんだろう…?」

「結城先輩の争いかな………」

「あの子可哀想…」

と、ひそひそと言った。瑞希はそんなことにも動じない。

(私が元カノなのに………。ちっあの女ふざけやがって…!)

瑞希は、もうドス黒い性格に変わっていたのだ。結城先輩を、他の女から守るために。まさに、「依存」だった。しかし、瑞希はそのことに全然気が付かない。

「あっもうすぐで、莉音様が学校にいらっしゃるわ!みんな、礼儀正しくね!」

「えっ、ウソ?!」

「莉音様が見れるなんて…」

「莉音様〜〜!」

みんなが騒ぎ出した。話によると、お金持ちの莉音と言う男の子が、今学校の人気者なのだそうだ。みんな学校の校門まで、走って行く。

「莉音様…!」

「こら、走るな!」

「走らないで!危ないわよ!」

みんな、そんな先生の声も届かずに、校門までついた。瑞希も、仕方なくついていく。

「キャーーー!!!」

「莉音様よ!」

「莉音様だー!」

校門の前で、1台の高級そうなベンツが到着した。そこから、運転手が、車のドアを開ける。

「みんな、おはよう。」

キラキラな笑顔で、はっきりと言ったのは、噂の莉音様だった。

「キャー!」

また、女子たちの黄色い、高い声が辺りに響く。

「……っ!」

瑞希は、その莉音様の顔を見て、あることを思い出した。

(野薔薇莉音…?え…)

なんか、見覚えがあるような気がした。野薔薇莉音。この男は、前の学校の、お金持ちとして有名だった。けれど、太っていて、メガネをかけていて、髪はボサボサで。でも、今の野薔薇莉音は、違かった。スラリとスタイルが良くて、コンタクトをつけているのか、メガネはかけていない。それに、髪はものすごく整っている。まるで、別人のようだ。でも、確実に野薔薇莉音という男ではない。別人かもしれない。瑞希は、周りの女子に聞いてみた。

「ねえ、あの莉音って子の苗字って、何?」

「えっと…。野薔薇だっけ。」

間違いない。この男は、確実に野薔薇莉音だ。もう可能性が98%以上まで、上がってきている。

「そっ、か…。ありがとう。」

瑞希は、動揺しながらも、返事をした。何より、瑞希は容姿が変わっていない。結城先輩もだ。そして、莉音様が、廊下を歩いて、教室に入っていった。

(うわ、同じクラス…)

瑞希は、心の中でそう思った。正直、同じクラスということがイヤだった。そうして、授業が始まり…。休み時間となった。

「莉音様、莉音様!今日、朝は何食べたの?」

みんな、莉音様の近くに寄ってくる。これほど、人気なのだそうだ。

「瑞希…。」

そうすまなそうに言って、瑞希の近くに寄ってきたのは、結城先輩だった。

「瑞希。もう、別れ…たよ…ね…?何でこの学校に…」

「私は、結城先輩が好きで、離れたくなかったから。」

瑞希は、サラッと答えた。

「僕、実は、あの子と付き合っているんだ。2人、両思いでさ。えっと…。非常に言いにくいんだけど、結婚…もするかもしれない」

「え…?」

瑞希は、ショックと絶望で頭が真っ白になった。頭の中では、走馬灯みたいに、結城先輩との思い出が映し出される。水族館に行った。海に行った。動物園でキリンを見て、餌をあげた。楽しいことがいっぱいだった。瑞希は、涙を浮かべた。

「ごめん、瑞希…。本当に、ごめん…。」

こうして、結城先輩と瑞希は、お互い抱き合った。

「……」

その様子を見ていたのは、人気者の、女子たちに囲まれている、莉音様だった。

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〜甘々の恋が訪れる〜〜君に出会えて良かった〜 夢幻 @yyamaguchi

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