いけいけ勇者様76

最上司叉

第1話

【ドォン】


【ジュー】


【ドォン】


【ジュー】


勇者は剣から光線を出し魔物を倒している。


だが魔物は倒しては現れ倒しては現れキリがない。


この戦いはいつまで続くのだろう?と勇者は疲れ果てていた。


声の主は勇者が話しかけても応答がない。


勇者はどうすればいいのか分からず途方に暮れていた。


「…」


「どうすれば…」


勇者は独り言を呟いている。


『…』


「?」


勇者は辺りを見渡す。


「気のせいか?」


『…こ…の』


「?」


勇者は再び辺りを見渡すが誰もいない。


『…このアホンダラ!』


「!!」


勇者は突然声の主の声が聞こえてきて驚く。


『やっと繋がった!』


勇者は声の主と再び会話できる状態になり安堵した。


『時間が無いわ!剣の能力を全開放するから動かないで!』


「ああ分かった!」


勇者は動きをとめた。


『……』


「?」


『…能力全開放…制限解除…パワー解放!』


声の主がそう呟いた瞬間剣が眩い光に包まれた。


「!!」


『これでよし!少しキツイかもしれないけどこの街のために頑張って!』


「ああ分かった!」


勇者は早速魔物に向かって光線を出した。


【グァー…パァン】


勇者が剣から光線を出した瞬間光線が辺り一面に拡がった。


人型の魔物はこの街から消え失せた気がした。


【グニャァ】


「!」


再び空間が歪み今まで戦っていた魔物とは全く違う魔物が現れた。


魔物が勇者を見るなり怒鳴ってきた。


「貴様か!世のしもべを倒したのは!」


「そうだ!」


「貴様はこの街のヤツらが何をしたか知っているのか?!」


「?」


「知らないようだな!」


「何の話だ?」


「教えてやる!この街のヤツらは罪人なのだ!」


「罪人?!」


「そうだ!世の世界を荒らしたくさんの同胞を殺した!」


「おい!本当なのか?!」


『…』


声の主は黙っている。


「それに聞いてもムダだ!貴様の身につけている剣と鎧もまた違う世界から奪ってきたものだ」


「!!」


『違う…』


「?」


『私の国は弱かったから負けただけ』


「おいそれじゃ…」


「ハーハッハ!これは愉快だ!さて貴様はどうするかね?」


「…」


『…』


「そうか!ならば潔く死ね!」


「!!」


【グァー…パァン】


「!!何故だ!なぜ世を攻撃する!」


「…過去のことは知らないが復讐は同じことの繰り返しだ」


『?!』


「そうか!ならば皆殺しだ!」


「させるか!」


勇者は剣から光線を出し魔物を攻撃する。


【ジュワー】


「その剣はなかなか厄介だな!ならば!」


【キィン】


「接近戦か!」


【ブォン】


【キィン】


【ブォン】


【ジュワー】


「!!」


剣が魔物に触れ魔物の身体が少し溶けた。


「何故だ!何故勝てない!」


「…」


【ザシュッ】


「…世…が…負け…た…だ…と…」


こうして後味の悪い戦いが幕を閉じた。


「…」


『…』


「勇者様ありがとうございました、お陰様でこの街は救われました」


「…」


「勇者様?」


「聞きたいことがある」


「はい、何なりと」


「この剣と鎧は他の世界から奪ったものなのか?」


「…お恥ずかしい話しですが先代の族長が戦好きで」


「そうか…」


「はい、勇者様に黙っていたのは謝ります」


「もうひとつ聞きたいことがある」


「はい何なりと」


「この前貰ったお礼なんだが何の薬だ?」


「…知られてしまったのですね」


「やっぱりか」


「申し訳ございませんでした、この前も言った通りこの街には戦える戦士がいなかったもので」


「そうか」


「勇者様がお嫌でなければまたこの街にお越しください」


「考える」


「そうですね…」


勇者はこの街に伝わる伝説の剣と鎧を返し帰ろうとした。


「…残念です」


「?」


勇者は族長が何か言った気がして振り返ったが族長は笑顔で手を振っているだけだった。


勇者は苦い顔をしながら街を後にした。

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