第39話 エルを信じて
ばくん……!! どくん……!! と心臓が脈打つ。
耳が熱い……!!
赤面しているのが嫌でもわかる。
これ……
一体いつまでやんだよ……!?
薄目をあけてタタラはエルを盗み見た。
エルも恥ずかしそうに顔を紅潮させている。
性女かと思ったらこんな時だけ乙女の顔をするんじゃねえ……/////////
その時突然エルはタタラの頬に両手を伸ばした。
……!!?
エルはそのままタタラの顔を掴んで情熱的で官能的なキスをする。
滑り込んでは引いていく舌の感触。
顎にまで届く二人の唾液。
あん……ダメ……って、そうじゃねえええええ!!
タタラは気絶しそうになりながら、拳を強く握りしめ、何も出来ずにそれを受け入れる。
再びエルを盗み見ると、先程までとは明らか纏う空気が違う、聖女エルモアの姿がそこにはあった。
清浄なオーラが二人を包み込み、ジャスミンのような甘い香りが広がっていく。
へその緒の約束
対になった光と闇
反目する双頭の蛇
若い男女の契
血の盟約
混ざりあい、重ね合い、金色の穂を束ねよ
頭の中にエルの声が響く。
同時に魔力の根源が、体内で鳴動するの感じた。
エルは唇を離し一歩退くと、
「あなた様に聖なる加護があらんことを」
タタラは頷き刀を抜いた。
見ると戦場では最後の一人になったジルがダイナムに頭を捕まれ宙吊りにされていた。
焼け焦げた身体からは煙が立ち上り、意識を失っているように見える。
「へへへ……!! あとはお前だけだな? でももう、おいら戦いに飽きてきたからよ? 御神木以外、まとめて吹き飛ばしてお終めぇにする!!」
ダイナムの纏った膨大な魔力が一気に収縮した。
マズイ……!!
タタラはそれを封じる魔法を持っている。
しかしそれを使えば再びクールタイムに入る。
逡巡するタタラに背後からエルが叫んだ。
「大丈夫……!! エルを信じて!! 今のタタラなら思い通り戦えるよ……!!」
「みんな吹き飛べぇえええええ……!!」
「重力魔法……
タタラの手から黒紫の文字列が飛び出した。
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