第33話 親衛隊長のダイナム
「パイパイ……オッパ……チッチー……なんということだ……三羽烏と謳われたお前たちが……」
重症を負いうずくまる三人にジルが応急処置を施していると、背後に強い気配を感じた。
スッと立ち上がり振り返ると、そこには土で汚れたヨレヨレのタンクトップに黄色いヘルメットを被った屈強な男が立っている。
ポパイのように歪に膨れ上がった腕には、お約束通りモジャモジャの腕毛が生えていた。
「貴様か……三人を……そしてこの村を爆破したのは……?」
怒りを
「ああ。そいつは確かにおいらの仕事だ。おいらはダイナム。アダムス様より
「それが一体何だというのだ……!!」
槍の真ん中辺りを掴んでジルが飛びかかった。
するとダイナムは見かけによらない身体のこなしで槍を躱し、手に持ったツルハシで反撃する。
「何でもね! ただの自慢だ!!」
そう言ってダイナムはツルハシの柄を竹とんぼのように構えた。
「そら……!! いくぞいくぞ!?」
掛け声と共に手をこすり合わせると、ツルハシはドリルのように激しく回転し掘削機へと姿を変える。
地面が、岩が、木が、ダイナムの攻撃の軌跡に沿って抉り取られていく。
凄まじい回転だ……
迂闊に受ければ槍が保たないだろう……
ギュルギュルと轟音を伴う連続攻撃を躱しながらジルは勝機を伺っていた。
「逃げてばっかだと勝てねえぞ!?」
そう言ってダイナムが突きを放った時だった。
見えた……!!
ジルは魔力を槍の穂先に集中し一点を鋭く穿つ。
ガギィィイイイン……!!
同時に耳をつんざくような金属音が辺りに響いた。
ジルの槍はダイナムのツルハシが回転するちょうど中心を捉えている。
「おう!?」
「回転の力は脅威だが、軸を押えてしまえば恐れるに足らず……!! 今だ!! 全員弓を放て!!」
木々の陰に隠れたセデック・バレーの戦士たちが一斉に弓を引いた。
それと同時にダイナムが呟く。
「爆裂魔法……
辺りがオレンジと黒の爆炎に包まれた。
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