第27話 辺境の村、セデック・バレー
二人が頭骨男の後についてしばらく行くと、鬱蒼とした森の奥に尖った杭のようなバリケードで囲われた村が見えてきた。
村の入口には木で組まれたゲートがあり、やはり様々な動物の頭骨が飾られている。
おまけに人骨らしきものも見えたが、タタラは見なかったことにした。
「ようこそ我が村、セデック・バレーへ……!!」
そう言って男は二人を村に招き入れる。
タタラはファンタジアに来てからの苦い経験を思い出し村へ入るのを
おかしい……
このファンタジアでこんなに親切にされるなどありえない……
何か裏が……
その時、ゲートの上に飾られた人骨が風で揺れてカラカラと音を立てる。
それがまるで嗤っているように見えてタタラは思わず息を呑んだ。
「なあ……見たとこあんたらは狩猟民族か何かか……?」
頭骨男はその言葉にピクリと反応し、静かに答えた。
「ああ……狩りこそがこの村に住む男の誇りだ……」
「そうかよ。で? 何を狩るんだ?」
タタラがそう言うと男はスッと背中の槍を手にとって振り返る。
「どういう意味だ……?」
「そのままの意味だ。動物か? それとも……」
そこまで言いかけると背後の森から殺気を感じた。
タタラが静かに振り返ると森の木々の陰から、骨で作った仮面や被り物を身に着けた屈強な男たちが槍を構えて姿を現すのだった。
「エル近くに寄れ!! こいつら人食い族だ……!!」
「わたしはタタラが食べたい……あるいはた・べ・ら・れ・た・い!! キャー////////」
タタラはエルを無視して引き寄せると、右手に魔力を溜めて鋭い視線を周囲に送った。
一触即発の空気を破ったのは、頭骨男の意外な言葉だった。
「待て……!! この者達は客人だ!! 皆の者……手を出すな!!」
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