第13話 骸と骨
コツコツとブーツの音が王室に響く。
緑色の軍服を着てポマードでベッタリと髪を撫でつけた眼帯の男は、中央に集めた王族の周りを歩きながら腰に帯びた軍刀の柄を指先で叩いていた。
「親愛なるニアレスト王とその血に繋がる皆様……」
男は足を止めて静かに切り出した。
「まずは非礼をお詫びしたい。と言っても、その縄を解くことは出来ないので悪しからず……お初にお目にかかる。私は反乱軍
そう言って男は敬々しく頭を下げた。
「貴様の狙いは何だ!? なぜ我が国を狙う!? この国が隣国と違って平和に暮らせるのはニアレスト王の人柄あってのことだぞ!?」
第一王子のチャーリーが大声を上げた。
それを聞いたアダムスは目を丸くすると、次いで大声で笑い始める。
「ハハハハハハ!! いかにもいかにも!! この国は無能でお人好しのニアレスト王のお陰で平和ボケが甚だしい!! そしてそれ以上に重要なのは……」
「まさかおぬし……」
王は顔を青褪めさせて息を呑んだ。
それを見たアダムスがにやりと口角を上げる。
「そのまさかですよ王様。聖女エルモア……!! 彼女が醸す浄化の波動……!! このファンタジアにおいてあれは脅威だ……あの娘を敵国に送り込めばいとも容易くその国を骨抜きに出来る……!!」
「おぬし……どこで聖女の存在を!?」
「入ってきたまえ……」
アダムスの許可で扉が開いた。
そこには美しいドレスに身を飾った歳の若い王妃が立っていた。
アダムスは王妃を抱き寄せその首筋に舌を這わせた。
王妃は恍惚の表情でそれを受け入れる。
「エリザ……!? どういうことだ!? 貴様!! エリザに何をした!?」
怒号を上げる王を前にアダムスはクククと喉を鳴らす。
「全部あなたのせいよ? あなたがあの聖女ばかりを贔屓するから……!! 私よりあの女が大事なんでしょ!? あなたと一緒になってから今日まで屈辱の連続だったわ!!」
「お分かりになったでしょう王様? エリザは私の妻になるのですよ!? そして世界の母になる……!! 今この瞬間こそが新たな王国セントラルドグマの誕生だ!!」
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