再開

 まさかまたこのタイトルに書くとは思わなかった。俺は成功者じゃない。命を語るときに、成功やら失敗やらとの尺度を使うのは好きではないが。

 誰かを助けられる人間でもない。

 

 一話目はそれをかなぐり捨てた、一種の熱情の塊だった。ここでは俺の現実を書こうと思う。

 端的に言おう。俺はさっさと死んだほうがいい。首でも括るか、まぁどこかから飛び降りるか、できる限り他人に迷惑をかけない方法でそうした方がいい。心の底からそう思う。一話目を読んだ方は驚くかもしれない。ただ、あの熱情も、この自己嫌悪ですらない冷徹も俺の本心だ。

 俺が今息をしているのは、偶然だ。偶然周囲に助けてくれる人がいた。許してくれる人がいた。だから息をしている。それ以外の何ものでもない。自己卑下ではない。俺は事実として、そう捉えている。

 地獄を抜け出した先が天国だと、誰が決めたというのだろう。開けないトンネルはないと、どうして言い切れるだろう。あがらない雨もないと、何故断言できるだろう。

 世界は理不尽で不条理で、恵まれたものもいれば恵まれなかったものもいる。全てが運とは言わない。だが、運は確かに存在する。それこそ、理不尽で不条理な世界の根幹だ。

 努力は報われるとは限らない、誰もが平等にチャンスに巡り会えるとは限らない。たまたま救われたものがいれば、たまたま見過ごされたものがいる。そこに理由は大してない。人は理由を探したがるものだが、実のところ、大抵のものに確固たるそれはない。「どうしようもないこと」を認めるのは、人にとって大層な苦痛だ。あえて言っておこう。馬鹿げた文法だ。


「どうしようもないことはどうしようもないから、どうしようもないのだ」


…さて、ここまで書いて俺は何が言いたいのだろう?

 事実、書き始めて、伝えたいことはただ一つに過ぎない。最後にそれを記すが、それをどう捉えるかは各人次第だ。少なくとも俺は、これを悲劇とは思っていない。




 世界は理不尽で不条理で、どうしようもないことだらけだ。

 そして俺は、そうであるからこそ世界を愛している。

 故に、俺はその世界の理不尽と不条理に、必ずやいつか呑み込まれることだろう。


「こうなるのは知っていた。どうしようもないね」


と、笑いながら。

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