ドロップアウト

鹽夜亮

伝えたいこと

 私は「鹽夜亮」ではない。

 今回に限っては、「俺」として綴る。


 新学期、新生活。色々変化があるだろう。表題やらタグの通り、それらを上手く過ごせない人々もいるだろう。俺もその一人だった。そして、今もその一人だ。これは文学ではない。ただ、伝えたいことを書く。


 まずは不登校に関して触れたい。俺は6年間不登校だった。小学校高学年から中学の終わりまでだ。高校は通信制に行った。そこから進学もしたが、その先の話は今はいいだろう。

 ともかく、一つ言いたいのは、不登校になったから友達ができないとか、生きていけないとか、未来がないとか、そんなことはこれっぽちもない、ということだ。関係がないとは言わない。ただ、それは確定じゃない。それだけを覚えていてほしい。

 きっと多くのことで悩むだろう。なぜ自分だけがこんなに苦しむのか?と思うだろう。将来が暗く見えて、まるで何も無い絶壁にしか見えない時すらあるだろう。俺は薄っぺらい希望を掲げるのは嫌いだ。だからはっきりと伝える。道を踏み外せば、相応の苦労はする。苦悩もある。それは生死に関わるほどのことですらある。同時にあえて言おう。世間的に言われる順調に歩いた人とて、同じことだ。ただ悩むことの種類が違う、それだけだ。そこに優劣も大小もない。その価値は、「同等」だ。

 不登校になってたくさん悩んだ。だから優しい人になる。ああ、そうかもしれない。だが、そうとは言いきれない。敷かれた道を歩こうが別の道を行こうが、そんなことで人は変わらない。重要なのは、どう歩いたか、ただそれだけだ。

 表題はあえてドロップアウトとしたが、俺自身はその概念自体をどうでもいいと思っている。そもそも人が歩くべきと決められた道など、幻想だ。歩きたい道はあるだろう。だが、それは歩くべき道とは限らない。そもそも、人は道がなくても歩けるということを、大概の人々は忘れがちだ。

 自分の歩きたい道を探すことは、困難だ。そこには様々な苦悩や、苦労、挫折、希望や絶望、あらゆる膨大な葛藤、それらが含まれる。俺はここで優しい言葉を吐くつもりはない。むしろ厳しいとさえ思っている。

 

 いいか。道を探すな。自分の歩ける場所を歩くんだ。それでいい。人は、それしかできない。それ以上もそれ以下もない。これは自由で、そして残酷だ。そこに希望を、または絶望を見出すのは勝手だが、俺は俺の経験則としてその事実を書いておく。もう一度言おう。


「自分の歩ける場所を探せ」


 不登校に限った話ではない。社会不適合と言われるものたちや、適合しながらも苦しみを抱える人々は多いだろう。全て同じだ。人の歩ける場所は、限られている。それは個人ごとに違う。それが道とは限らない。何もない荒野から、無限の選択肢のうちにそれを見つけるんだ。間違ってもいい。間違ったからといって人は死なない。失敗してもいい。そんなことはどうでもいい。

 また次の一歩を探せばそれでいい。


 長々と説教くさいとお思いの方も多いだらう。俺もそう思う。だが、伝えたいのだ。伝えたいから、こうして文学としてではなく書いている。ここまで読んでくれた方々に、一番大切なことを書いておく。



 自分勝手に生きろ。自分の命を守れ。他の全てに否定されても、自分の誇りと、自分の考えと、自分の足だけを信じろ。自分の命と天秤にかけられるのは、ただ自分の誇りだけだ。

 誇りがない?ああ、そう思う人もいるだろう。ならはっきり言おう。

 君は悩んだろう?苦しんだろう?それを他人と比較してどうのなどという気はない。だが、それは事実だろう?その上で、これを読んでいるはずだ。そして今息をしている。つまり、何も見つけられないと思っていたとしても、君は今、既に歩いている。そこに道はないのかも知れない。望んだ場所でもないかも知れない。だが、歩いている。

 それを、「誇り」と言わずに何を誇りと言うのか。世界中の人々が否定しても、俺だけはそれが誇りだと言い張ってやろう。見ず知らずの、わけもわからない俺にそう言い張られたことで何が変わるか?何も変わらないかもしれない。ああ、これは俺の自分勝手だ。だが、それでも言い張ろう。


 君が自分を誇れないのなら、俺が君を誇ってやる。自分などどうしようもないと言い張るのなら、なるほど、そうかもしれないが、君は全ての選択肢を見尽くしたのか?と言おう。人間は全てを見尽くせるほど聡明ではない。誰が君をどうしようもない、何もできない人間だと規定できる?できるわけがない。全ては自分の思う次第だ。好きに考えろ。いいように世界を捻じ曲げて、いくらでも変えていけ。君の世界は、君だけのものだ。


 なぁ、悩んで苦しんで、ドロップアウトしたとしても、あんたら、最高にかっこいいよ。泥だらけでも、血まみれでも、人に迷惑ばっかりかけても、死にそうでも、何もできなくても、どうしようもなくても、あんたらはかっこいい。


 他の誰がどう思おうと関係ない。

 今日ここに書いたものは、全て俺の本音だ。誰かに届いたら幸運で、届かなければそれもまた仕方がない。


 それすら関係なく、俺は君たちが今を生きていることを、「かっこいい」と誇る。

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