夢について3 昔のブラック企業
若い頃数年間ブラック企業に勤めたことがある。
社長が独裁的でしかも若者を毛嫌いしていた。
民間の企業なのに役所の給与計算をもとにして給料を渡していたから、若い俺はこの給料で生活出来なかった。
若い先輩も給料でなくボーナスで食べていたとのこと。
そんな会社すぐに辞めればと思うだろうが、ある権威のある人の紹介で入った会社だ、経験と義理のためにも仕事を覚えるまでは頑張ることにした。
そんな会社だが業務の1つに建築物のテレビ電波障害の調査と計算と言うのがあった。
俺はこの業務が好きだった。
ひらたく言うと、やる事は建築物の位置のテレビ電波と障害を受ける方向のテレビ電波の状態を測定して正確に近い電波障害の範囲を割り出すと言う業務だ。
建築会社の建築図面も必要だし、NHKの受信課に行って自分の測定計算した電波の障害範囲が正しいかどうかの認証を受け正式な調査書類となる。
これら、特にNHKのその課の人とは顔なじみになるし、外での調査も楽しい。
こんなことで生活のままならない給料でもしばらくは居座った。
この会社を辞めること数十年、時々この業務の夢を見る。
今ではケーブルTVや光ファイバーTVの普及により、テレビ電波障害範囲内にある家屋や建物がそれらを利用している場合には障害適応範囲にはならない。
大雑把な障害範囲すべてがそれらの利用建物である場合にはテレビ電波の測定調査はほぼ行われなくなる。
この調査は測定ポイント一点あたりの課金の割合が高い。
そんなわけで昨今のネットやケーブルTVの時代、この調査をしても商売にならなくなる。
そんな中この事情が入りながら夢の中でこの業務が現れる。
俺は何十年も前にしていた業務なので大半はその業務を忘れていて、調査業務をかつて行わなかった後輩がこの業務のリーダーとして俺が一緒についていく。
はじめに現場で行うことはTVアンテナを立てている家屋を探すことだ。
ケーブルTVや光TVを入れている家屋付近は調査対象とはならないので、その周辺の業務はない。
結局数少ない業務をするだけで終わるが、俺は業務の何もかも忘れているので大したことは出来ない。
この調査業務以外の仕事も夢の中では殆どなかった。しかし夢の中では何故かその会社に雇われている。
会社のディスクを割り当てられても業務がない。
あのワンマン社長は大人なしくなった。
安月給しか与えないくせに暴言を吐くかつての姿はない。
俺のもらう給料もあの頃よりも安い。
しかし、そんな企業でもいられるだけで何とかなる世の中になった。
こんな中ダラダラと時間を潰すだけの会社員生活の夢もダラダラと見るのであった。
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