エビフライの作り方
パ・ラー・アブラハティ
サクッと美味しかったエビフライ
僕はエビフライが好きだ。どれぐらい好きかと聞かれたら、こう答える。三大珍味よりも魅力的でそんなのじゃ敵わないほどに好きだと。
サクッときつね色の衣に覆われたエビフライは口の中で軽やかなダンスを踊るように甘味を口の中に溢れさせ、多幸感が脳のてっぺんまで突き抜ける。特に君の作ったエビフライが一番、いやこの世界で一番美味しかった。五つ星を取ったシェフの腕前でも勝てないと思えるほどにサクッとカラッとしていて、美味しいそうに食ベる僕の顔を見て幸せそうな顔をした君も世界一だった。
僕がエビフライをもっと好きになったのは君が作ったエビフライを食べたおかげだ。これは過言でもなんでもなく事実である。事実であるけど、何故だが今はそんなに好きになったはずのエビフライが美味しく感じられない。
サクッときつね色の衣に覆われているのは何も違わない、甘味があるのも違わない。見てくれは何も変わってはしないのに、どうして美味しく感じれないのだろう。
あぁ、そうか。簡単な事だった。君が作っていないから、君が幸せなそうな顔していないから。だから、美味しくないのだ。エビフライを食べれる幸福感は確かにそこにある。だけど、君がそこにいて笑ってくれていた幸福感は消えてしまっている。君の愛情という衣が消えてしまったエビフライは、とても冷めたように感じられる。
どんなレシピ本を見ても、どんな五つ星のシェフにエビフライの作り方を教わったとしてもきっと、絶対君の作ったエビフライには敵わない。
どうか、どうか。僕にエビフライの作り方を教えて。
エビフライの作り方 パ・ラー・アブラハティ @ra-yu482
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