第2話 名まえと出生届

ボクは颯くん



ママに聞いたお話で、ボクの出生届を出したときなんだけど、市役所の窓口で


「この漢字は人名漢字にありますか?」

と聞かれたんだって。


「人名漢字でなくて当用漢字にあります」

と何度言っても信じてもらえず、窓口のおねーさんは一生懸命「人名漢字」の辞典を引いていたんだって。


今でこそ、普通に人名ランキングにも上位になる漢字だけど、当時は使う人がいなくて、どこへ行ってもキラキラネーム扱いされたんだって。




ま、結局、空いている時間帯にもかかわらず、窓口で一時間ほど待たされて受理されたんだけど、「お待たせしてすみません」のひと言もなかったらしい。お役人って謝ったら査定に響くのかな?別に謝って欲しいわけじゃないけど・・・


お役所の人の肩をもつわけじゃないけど、当時は苺ちゃんも琉クンも認められてなかったからね。(1995年のころ)

今でも檸檬ちゃんも薔薇ちゃんも付けられないわけだし。(2024年現在)


それはそれでね、漢字には意味があるよね。

外国人に名前の意味を聞かれたら、ママはquicklyと答えている。

日本語では「きびきびとした素早いさま」と言ったら小学校の先生が「ぷっ」と吹きだした。失礼だな。たしかにいつもぼーっとしてのんびりしているボクに似合わないかも。。。。



当時、ショウ君はよくいたけど、ソウ君はきいたことなかったって言うんだ。だからよく聞き取り間違いされてたって。「ソウ」でなく「ソン」とかね。ボクのおじいちゃんに名前の報告に行ったときなんて、「颯くんに決めたよ」と言うと、「『ソウ』はどんな漢字?」に続いて「『クン』はどんな漢字?」って聞いてきたって。もう。おじいちゃんってばおちゃめなんだから。



でもボクは自分の名前がとても気に入っているんだ。

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そうくんのにっき ちっちっちー @chicchicchi

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