第十四幕『誰も居ない家-monster house-』
どんな町にもお化け
大抵はただの気味の悪い家屋を子供達が勝手にお化け屋敷呼ばわりしているだけだったり、もしくは遊んでいる荒れ放題の廃屋をお化け呼ばわりしていたり……大抵は
草木も眠る
ある
この廃墟は
この様な廃墟が管理をされず、放置されている理由なのだが
この廃墟を更地にする計画こそあるのだが、何かと都合がつかず工事が進行しない。
まず第一に、
第二に、ようやく工事に取り付けた会社なのだが、不祥事で権利を失効してしまった。
書類の不備で全てがパー、このまま強硬したならば、それこそお上が目玉を剥く。
第三に、この建物の環境が特異と言うと大げさだが、少々特殊な事にあった。
この建物近辺には
結果として、地域の人間は
すぐ隣でうるさい工事を行ない、狭い敷地を
そんなケチを付ける厄介な人間は、集合住宅に一人は居るのである。
しかし、学生達はそんな理由は
何せ学生は朝昼は学び舎で勉学に励むし、夕方は
集合住宅の近くの廃屋の工事の事など知ったこっちゃないのである。
「それじゃあ、最初はお
「あい分かりました」
学生のリーダー格らしい女学生が、
茶髪の女学生は油性ペンと
廃墟の中には、灰色の人がたくさん居た。
灰色の人達は客人が訪れた事を良しとし、客人の後ろでわざとらしく歩いてみせた。
客人は灰色の人が背後に居る事に気が付かず、廃墟を奥へ奥へと進んだ。
ある灰色の人は、客人の目の前へ飛び出て
客人は灰色の人が目の前に出て来た事に気が付かず、意に介さずに廃墟を奥へ奥へと進んだ。
ある灰色の人は、客人が階段を上るのを見て、窓ガラスに思いっきり手形を付けた。
客人は灰色の人が窓ガラスを触っている事に気が付かず、
「これでよし」
客人は廃墟の上の階の突き当りに油性ペンで『
「あ、おかえり。それで、
「うんう、全然」
茶髪の女学生はリーダー格らしき女学生に油性ペンを手渡しながら、胸を張って答えた。
「何せ私は生まれてこの方、幽霊とか見た事無いからね」
「ふうん、じゃあ次の人!」
リーダー格らしき女学生が油性ペンを手渡したのは、
「ゲンジョウは霊感とかは、ある方? ない方? やっぱりお寺生まれだと、そう言うのを見た事ある?」
「まあ、人並みってところかな」
ゲンジョウと呼ばれた男子生徒は天気の話でもする様に、
廃墟の中には、灰色の人がたくさん居た。
灰色の人達は客人が訪れた事を
客人は灰色の人が背後に居る事に気が付かず、廃墟を奥へ奥へと進んだ。
ある灰色の人は客人の視界に入りそうになってしまい、
客人は灰色の人が目の前でうずくまっている事に気が付かず、意に介さずに廃墟を奥へ奥へと進んだ。
ある灰色の人は、客人が階段を上るのを見て、恐怖の余り窓から外へと飛び出して逃げた。
客人は灰色の人が命からがら窓から飛び降りたとは
「ここが目標か」
客人は廃墟の上の階の突き当りに油性ペンで『
「おっ、おかえり! それで、幽霊か何かは出た? 出たよね?」
「いや、全く。何も居なかったよ」
痩躯な男子学生はリーダー格らしき女学生に油性ペンを手渡しながら、暇そうで心ここにあらずで答えた。
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