第33話 ダンジョンへ 大蛇討伐

 ダンジョンに行ってみた。

 僕はダンジョン初挑戦だ。


「ダンジョンは不思議なところでして。次から次へと魔物が湧くんですが、仕組みがわかっておらんのです」


 ランベルトが言う。


「魔物も注意ですが、罠もあります。落とし穴とか落石とかね」


 僕は探索魔法マックスでダンジョンを探索する。

 頭の中に、ダンジョンの地図が浮かび上がる。

 階段までのルートは一発でわかる。


 結界と防御魔法も僕とランベルトにかける。

 ダンジョンは普通の洞窟タイプで、

 岩がゴツゴツした薄暗い洞穴だ。



「ランベルト、30m先、右折すぐのところに3体。多分、吸血コウモリ?」


「この先、二手に分かれる。右手は罠。落とし穴あり」


 こんな具合に、ひょいひょいと敵や罠をかわし

 地下3階に来た。


「ランベルト、50m先に少し大きめの個体あり。これが大蛇の子供かな?」



 慎重に進む。

 対象の30m手前まで来た。

 道が直線になり、対象が見えてきた。


「ああ、ここまでくるとよく見えますね。双頭蛇。大きさは3mぐらいですかな」


 ランベルトは2本の弓矢を同時につがえた。

 そして、大蛇に向かって一気に弓矢を放った。

 見事、大蛇の2つの頭に矢が刺さった。


「お見事ランベルト。ランベルトは剣だけじゃなくて、弓矢も相当やるね」


「実は弓矢はフィナに教えてもらいましてね。彼女の弓矢はかなりのもんですよ。3本同時もお手のものです」


「そうなんだ。僕もフィナに弓を教えてもらっているけど、基本の技しか見せてもらっていないな」


 僕の弓の腕前は初歩の域を出ない。

 言い訳するようだけど、僕には魔法があるからね。

 フィナは弓矢が上手とは思っていたけど、実力をみせたことはなかった。



 そんなこんなで地下5階まで降りてきた。

 降りた瞬間にわかる強烈な存在感。


「これは坊ちゃまの出番ですね。私は近づけないし、弓では威力が弱そうだ」


 地下5階は毒息で汚染されているようだった。

 視界が毒々しい霧で遮られている。

 結界がなかったら、

 おそらくやられていたんじゃないか。


 霧の向こう側に

 かすかに双頭蛇のシルエットが浮かび上がる。

 こちらの気配を消しているので、

 まだ気取られてはいない。

 僕は十分に距離を取りながら、

 魔法石つぶてを双頭にめがけて放ってみる。


「ガキン」


 おっと、弾き飛ばされた。

 僕の魔法石つぶては

 30cmほどの石の外壁なら破壊できる。

 石のイメージがダイヤモンドのため、

 石の組成が組み替えられるので硬度が高い。


 その石つぶてを跳ね返す蛇の表皮。


 怒り狂った蛇が

 双頭をあげてこちらに猛烈な勢いで迫ってくる。

 真っ赤な4つの目が憤怒で燃えさかっている。


 僕の次の攻撃は火魔法。

 高熱で表面を溶かしその後炸裂する魔法だ。

 酸素消費量が少ないので狭い洞窟でも問題ない。


「ドガーン!」


 僕が魔法を放つと、あっけなく双頭は消滅した。

 双頭蛇の胴体はしばらくのたうち回っていたが

 やがて静かになった。



「これは普通の冒険者ではムリですな。毒息は致命的ですから近寄れませんし、物理攻撃は通りそうもないですね。かなり強力な攻撃魔法しか手がありません」


「こんなの、よくいるの?」


「私は初めて見ました。魔物ランクだとSは間違いないでしょう。これ以上だとドラゴンとか、これまた海の果てにいると言われる大亀ですとか。いずれもあくまで伝説の存在です」


「ドラゴンと大亀?」


「伝説によると、教会の信奉する世界の創造主がドラゴンらしいですね。それから大亀は地の果てで大地を支えているとか。まあ、そんなのおとぎ話でしかありませんが」


 双頭は破裂してしまったので、尻尾を切り取る。

 蛇は醜悪な臭いを撒き散らし、

 ヌルヌルして気持ち悪い。

 マジックバッグがなければ触りたくないけど、

 討伐証明のために我慢する。


 地上に戻る途中、

 生き残りのミニ大蛇を片っ端から討伐していく。


 ◇


「助かったよ。これが賞金だ」


「本体はまだ地下5階に横たわっているし、あらかた大蛇の眷属はやっつけたから、回収可能ですよ」


「ありがとう。蛇の皮も役立ちそうだ。回収したら、改めてお礼をするよ」


 蛇の皮は、防具として価値が高く、

 大蛇小蛇合わせて160万pになった。

 僕は薬草採取で頑張っている人たちのために、

 ギルドに寄付することにした。



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