第32話 ギルドに盗賊を何人か連れてくる

 山賊狩りをしばらく続けていて、

 見込みのあるのはグスタフの村へ連れて行く。


 指名手配されているようなのは冒険者ギルドへ

 連れて行く。彼らは死刑か炭鉱奴隷のいずれかだ。


 指名手配されているからといって、

 強いかというとそうでもない。

 まともな訓練はしていないから個々の力が弱い。

 軍隊のような組織だった動きができるはずもない。


 しょせんはチンピラの集まりだ。

 ただ残忍、というだけだ。



 冒険者ギルドに指名手配犯の盗賊を連れて行くと、

 冒険者ランクがFからDにあがった。

 飛び級ということだった。


 再び盗賊を連れて行ったら、DからCにあがった。

 これも異例のことらしい。

 それだけ、凶悪な盗賊だったということだ。


 流石にCからはなかなかあがらなかったけど、

 3組目でCからBにランクアップした。


「おかげさまでこのところ、急速にこの辺りの治安が良くなってね」


 ギルマスが部屋に呼んでお礼を言ってくれた。


「ここ半年ばかり、盗賊騒ぎが起こらなくなったよ。それどころか、盗賊どもが村を作って真面目にやってる、という噂もあるぐらいで」


 グスタフの村のことだった。


「捕まえたりしないんですか」


「村作った連中は要注意人物ばかりだが、指名手配というほどじゃない。真面目にやってるんなら大目に見ようというところだな」


「それと、お願いがあるんだが、近くにあるダンジョン。凶暴な魔物が湧いたとかで冒険者が寄り付かなくなったんだよ。もし、手が開いてるんだったら、一度覗いてもらえんかな」


「誰かいないんですか」


「B級冒険者のパーティが挑んだんだが、這々の体で逃げてきた。現在、そいつらより見込みのありそうなのはキミらぐらいでね」


「どこにあるんですか」


「ダンジョンは、ヨンナンから東へ3kmほど東へ行ったところにある。ヨンナンはこのダンジョンのお陰で発展したんだ」


 5階層からなるダンジョンで、初心者向けのダンジョンで有名だ。だから、ヨンナンにはあまり強力な冒険者は集まってこない。どちらかというと、薬草採取がメインの冒険者ギルドであった。


 そんなダンジョンで強力な魔物が湧いたわけだ。


「地下5階にいるのはツィンヘッドスネーク。長さ20mぐらいの双頭の大蛇だ。毒息が厄介でね。麻痺も混じっているようだ。半径10m以内には近づけない。体も固い。弱点は見当たらないとのことだ」


「あと、全域にわたって、蛇の子供らしき個体がウロウロしている。これも相当厄介だ。大きさは3~5mの双頭蛇。やはり毒息も吐くし、個体によっては麻痺息を吐くのもいる」


「逆にその他の魔物は蛇に食われてしまって目立ったのはいない。スライム、吸血コウモリぐらいだ。ダンジョンに魔物が湧いてもすぐに蛇の餌になってしまうようだ」


「強そうですね」


「報酬は100万pだ。少ないような気もするが、これが現状では精一杯だ。とにかくお願いするよ」



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