第27話 成人までの3年間、けっこうな金持ちになった。2

■ロレンツォ12歳~


■砂糖


 これは是非とも獲得したい食材だ。

 僕のというか、みんなの食生活が豊かになる。

 勿論、スィーツが作れるからだ。


 ジョージャン王国の沿岸は亜熱帯に近く、

 さとうきびが生えている。

 だから、砂糖は貴重品というわけではない。


 ただし、製糖が粗い。色が茶色だ。

 これはこれで美味しいのだが、癖がある。

 スィーツ用にはもっと純度の濃い砂糖が欲しい。


 また、領地はおそらく山岳地帯になる公算が強い。

 僻地に飛ばされるだろうが、間違いなく北方だ。


 北の気候に沿った植物で、

 ということで甜菜(テンサイ)を捜す。

 これもさほど珍しい植物ではなかった。

 但し、砂糖を取るところまではいっていなかった。


 そもそも、糖分が低いので、量がとれない。

 しかし、甜菜は土壌を改良してくれる。

 絞った後は、飼料にできる。


 だから、砂糖はサトウキビ砂糖を購入する。

 買ってから、さらに砂糖を製糖する。


 甜菜に関しては、品種改良を重ねるつもりだ。



■カカオとコーヒ


 熱帯特有の植物、カカオ、コーヒーとかは

 この大陸ではムリだった。


 ずっと先の話だけど、カカオ、コーヒーは

 南の海を渡った島嶼群で見つかった。

 ここからだと2000kmぐらい離れている。

 暇を見つけてちょっとそこまで、

 というわけには行かなかった。


 いずれも、王国の港の市場とか薬屋にい行けば

 手に入るけど、高い。

 栽培場所の位置にはある程度の情報がある。

 だから、現地で購入する。


 行くときは飛行魔法だった。

 但し、一気に2000kmを飛ぶわけじゃない。


 とりあえず、南の島には

 お祖父様がらみの事務所がある。

 そこまでは転移魔法で。


 そこからは島伝いに飛行魔法で飛んでいく。

 事務所のある島からでも

 1000キロ近く離れているから、

 休み休みで半日かかる。



 カカオやコーヒーがある島々に到達すれば、

 そこに転移魔法陣と小屋を作るだけで、

 往復は一瞬だ。


 事情を知る商人から大まかな場所を聞いたので、

 場所の特定は早かった。


 現地にいる人達も、実を見せれば

 一発で場所がわかった。

 現地では有名な実のようだ。


 元気の出る植物として、

 祭りや祭祀に使われるらしい。

 カフェインの効果なんだろうか。



 ついでに胡椒(こしょう)を始めとする

 熱帯特有のハーブも採取する。

 香辛料は王国で大量に出回っており、

 さほど高価なものではない。

 しかし、現地から直接採取すると圧倒的に安価だ。



■薄力粉用/強力粉用小麦


 グルテン含有量の高い/低い小麦は

 割合簡単に見つかった。

 市場で聞けば、商人が産地も教えてくれる。


 デュラム小麦は若干特殊で

 栽培地域が限られている。

 王国西部から神権イスタニアン東部にかけて

 栽培地域がある。

 非常に腰のある小麦がないか商人に聞いたら、

 最初に出てきたのがこれだった。


 前世のデュラム小麦と同じかどうかはわからない。

 グルテン量が多いことから

 デュラム小麦と勝手に名付けた。


 デュラム小麦の特徴はグルテン量だけじゃない。

 変形しやすいのだ。

 パスタにはいろいろな形があるけど、

 それがデュラム小麦の特徴だ。

 単なる強力粉ならあんな変形はかなり難しい。

 それと、色が黄色なのも他の小麦粉と違う。



 含有量に合わせて、パスタ、パン、うどん、

 スィーツ用の小麦粉を作る。

 デュラム小麦粉、強力粉、中力粉、薄力粉

 というやつだ。


 パンを薄力粉で作ると芯のないパンになるし、

 ケーキを強力粉で作るともっちりとなる。

 味も大事だが、食感も大事だ。


 ちなみに、僕のウドンの好みは強力粉だ。

 コネたり伸ばしたりが大変だけど、

 腰のあるウドンができる。



■金・銀・鉄・カオリン


 金・銀・鉄ともに、

 この世界で鉱山が見つかっている。

 だから、そこから少しずつ頂いた。

 金だと1000kgほどか。


 僕には採掘スキルがある。

 手をかざすと、鉱山から目標物を抽出できるのだ。

 これも古代魔法から得られたスキルである。


 割合表層部にしか効果がないが、

 既存の炭鉱であれば、トンネルの周囲から

 未掘削の金とかを取り放題だ。


 前世28歳だったときの金の値段は

 24kが1g約1000円だった。

 1000kgだと前世基準で10億円ぐらいになる。

 この時代だと約10億p。


 しかも、殆ど無限にあるしね。


 他人の鉱山だけじゃなくて、

 僕たち独自の鉱山も発見している。

 後年のことになるけど、

 金や銀を数百トンほど所有することになる。

 ぶっちぎりでこの世界トップの金持ちになる。


 ※この世界、歴史上で掘削された金の総量は

  推定千トン。

  対して、埋蔵量は推定20~30万トン。


 マリアなんかきんの山を見た瞬間、

 ダイブするし。

 マリアは金の価値ではなく、

 単にキラキラするものに弱いようだ。

 ギザギザした部分は気にしない。

 怪我しても回復魔法で治すだけだから。

 痛さも興奮で吹っ飛ぶらしい。



 問題は鉄。

 純粋な鉄が欲しいわけじゃない。

 錆びにくく固い鉄がほしいのだ。

 それには少量の炭素が混じっている必要がある。

 鋼である。

 この炭素の割合で性質が決まる。


 また、鉄にレアメタルを混ぜると

 更に強靭な性質を獲得できる。

 しかし、マリアの鑑定魔法では

 有名な金属以外はなんだかわからない。

 金鉱脈は鬼のように探し回るのにな。


 とりあえず、金貨・銀貨・銅貨を作った。

 領地で使おうと思って。


   金貨10万p

   銀貨 1千p

   銅貨 10p


 となるように重さを調整する。

 なお、金貨は10%ほど銅を混ぜた。

 金貨を固くするためだ。


 まだどこに行くのかわかっていない。

 気が早いかな?



 マリアには金貨をごっそり取られた。


「私を酷使する正当な対価や」


 まあ、確かにマリアにはお世話になってる。

 どれだけ取られても文句はないけど。

 彼女はとにかくキラキラしたものに弱い。


「いいんだけどさ。金貨、どこで使うの?それと、金貨の山で泳ぐのはやめてくれない?」



 カオリンはムリだった。

 カオリンは耐熱レンガとか磁器用の粘土だ。

 馴染みのないものは、

 マリアの鑑定では出てこない。

 それと、そもそもかなり珍しい粘土でもある。


 ただ、白い色の鉱物を探していたので、

 岩塩とか重曹とかを探り当てた。

 これはこれで使えるので取得し、

 マーキングしておく。


 あとはガラス鉱石など使えそうなものも。



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