第28話 冒険者ギルド

「ねえ、あるベルト。森の周囲っておかしな集団がいるみたいなんだけど」


「坊っちゃんの探索魔法にひっかかりますか?」


「そうなんだよ。探索魔法の威力が増してきたみたいでね」


 森の周囲とは、僕達の森の秘密部屋の回りのことだ。

 当然人里離れている。

 滅多に人がこないような場所だ。


 その拠点を中心に、半径数十キロといったエリア。

 村とは言えない集落がある。

 

「山賊ですかね」


「やっぱり、そう思う?」


 山賊は付近の村や街道に出没して金品をせしめたり、

 人殺しをしたりする。


「ええ。一度、冒険者ギルドで手配書を調べてみてはいかがでしょうか」


「なるほど。僕たちの小屋の回りは平和にしたいもんね」



 僕達の森の拠点は、首都キーオンから北へ

 100km程度のところにある。

 そこで、更に100kmほど北西にある

 ヨンナンという街の冒険者ギルドを利用する。


 首都キーオンだとさすがに目立つからだ。

 いくら僕が変身していたとしても。

 人間に変身する場合は、

 そんなに姿かたちを変えられないのだ。

 元のロレンツォの面影が残ってしまう。

 人間の変身は不得意だ。


 ランベルトにしてもそうだ。

 冒険者ギルドにはランベルトも

 一緒に行くことがあるけど、

 ランベルトは一応元冒険者Bクラスだ。

 しかも、騎士団で稽古していて

 かなり有名になっている。

 こちらも少しぐらいの変身では身元がバレそうだ。



 ヨンナンはトーハウ川に沿った街だ。

 人口は3万人ぐらいで王国では中規模の街である。


 特別有名な特産品はないけど、

 そばに有名なダンジョンがある。

 このダンジョン目当ての冒険者が多い。


 だから、冒険者ギルドは王国の中では

 比較的盛況になっている。



 とりあえず、

 街のそばの森に拠点の小屋その2を作り、

 中に転移魔法陣を置く。

 小屋は結界で覆われるので、

 発見されることはまずない。


 小屋からは街まで1kmちょっとだ。

 門まで歩いていく。

 中に入ろうとする人たちが行列を作っている。



「初めてこの街に来たんですけど」


 入口の係官に話しかける。


「じゃあ、入場料として一人百p。これは仮証明書ね。どこかのギルドで証明書を作ってもらえば、次からは入場料は不要だよ」


 冒険者ギルドの場所を教えてもらう。

 門のすぐそばにあった。

 白塗りの大きな3階建ての建物だ。

 この街ではかなり目立つ大きさである。



 ランベルトと一緒にギルドの中に入る。

 入り口近くにはたくさんの冒険者がいたけど、

 僕はともかく、

 ランベルトはひと目で達人の雰囲気がある。


 彼はこれでも気配を消しているつもりらしい。

 でも敵がいないから、

 完全に気配を断っているわけじゃない。

 気配が少し漏れただけでも、

 相手にはかなりの圧力があるようだ。

 みんなはランベルトを見るなり避けてくれる。


 それにオラオラ系の冒険者が見当たらない。

 薬草採取中心の冒険者が多いようだ。



 登録窓口に並ぶ。

 登録はすぐに済んだ。

 名前、出身地、年齢を登録するだけだ。

 500px2を払い、カードをもらう。



 ギルドの活動については、

 壁に説明書きが書かれていた。

 字が読めなければ説明係がいるけど、

 僕たちは一通り読んでいく。


 ランクはFからSまである。

 討伐・採取する対象に応じて

 ポイントが加算されていき、ランクアップする。


 ポイントは期日が決められている。

 ランクを維持するにも

 ポイントを継続してあげていく必要がある。


 例えばCランクだとする。

 何にもしなかったらポイントは失効し、

 Dランクにダウンする。

 ただし、ランクダウンは2ランク下まで、

 CランクだったらEランクまでしか落ちない。


 僕たちは冒険者活動を継続するわけじゃない。

 だから、適当に読み流していく。



 次に、討伐対象のコーナーに行く。

 そこで指名手配されていたり、

 要注意とされている山賊・盗賊をチェックする。

 この周囲、半径100km程度の範囲だと

 6団体いた。

 凶悪犯は遠方にかかわらず

 コーナーに人相書きが貼られていた。


 一つずつチェックして、

 僕たちは秘密小屋に戻った。



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