第20話 お祖父様の家に遊びに行く4
■ロレンツォ10歳
お祖父様は領内の畜産農家保護と合わせながら、
焼き肉レストランを開くことにした。
野生の牛を飼いならしつつ、
おとなしい個体を領内に紹介し、
畜産で生活している領民には
新しいビジネスにかませるとかして保護をする。
「お祖父様、醤油という調味料を聞いたことはありませんか。大豆から作る黒っぽい液体ですが」
「醤油という名を聞いたことはありませんが、ロレンツォ様のおっしゃられるようなものでしたら、市場でみかけたことがあります」
お祖父様の専属料理人が答える。
「明日、市場に行ってみようか」
市場に行くと、醤油らしきものを発見した。
神聖イスタニアンの南西にあるブライドル島で
醸造されたものだという。
味は醤油としては違和感がある。
不味い、というわけではない。
中国醤油に感じる違和感みたいなものだ。
品質に問題はない。
この醤油を使って、テリヤキソースを作ってみた。
「なんと風味のあるソースじゃ。甘くて香ばしくて食欲がそそるの」
「私、手が止まりませんわ」
お祖父様もお祖母様も絶賛だ。
さらにマヨネーズ、ゴマダレそれから
タルタルソースをバッグから提供する。
「タマゴ、オイル、酢でこんなに美味しいものができるのか」
「はしたないですけど、タルタルソースだけでも舐めたくなりますわ」
「お祖母様、タルタルソースには鶏の唐揚と一緒に食べてみて下さい」
「まあ、鶏は好きなお肉ですけど、こんな美味しいの初めて。とってもよく合いますわ」
「ゴマダレもなかなかやるな。ロレンツォ、料理人にいろいろ教えてやってくれ」
お祖父様にソースを秘密にするようお願いする。
「契約魔法をかけるから心配するな。このレシピは値段が高いぞ」
使用人たちにも食べてもらった。
かなり評判がいい。みんな、目を輝かさせている。
「醤油は輸入するとして、残りは自家製でいけそうだな。焼き肉レストラン、成功間違いなしってか?」
「お祖父様、では飲み物も工夫してはどうでしょうか」
僕はマジックバッグからエールを取り出した。
前世ではビールを飲みつつゲームをしたものだ。
ビールが大好きなのだ。
この世界でも前世並みの品質のビール(エール)
ができないか、チャレンジを繰り返していた。
僕は自家製のエールをお祖父様に勧めた。
「おお、これがエールじゃと?香り高い飲み物じゃの」
この時代、エールという上面発酵型のビールは
品質が低かった。
エールは貧乏人の飲み物とされていた。
しかし、品質管理をしっかりして飲めば、
質の高いビールになる。
前世地球でも、ラガーよりエールの方が好き、
という人が多かった。
「口当たりもいいし、フルーツのような香りがするな。エールと言われても信じられん」
焼き肉と一緒に飲んでもらう。
「うむ。相性抜群だな。焼き肉とビールを組み合わせて提供するのか」
「あなた、エールは私も頂きたいですわ」
お祖母様もけっこうな酒豪だった。
「でも、お祖父様、あなたはお酒はほどほどにね」
お祖父様は酒癖が悪く、
それは領民皆の知るところであった。
「いやいや、ロレンツォはまだ10才と少しじゃぞ。それでこんなに美味い酒を開発するとは、さすがワシの後継者じゃ」
ロレンツォは痛いところをつかれて苦笑い。
精神的には30才。
前世では毎晩、晩酌で飲んでたとは言えないよね。
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