第23話 ハンターズギルド

 ディアナに案内されるまま、街の中心部までやってきた。


 大聖堂がやはりこの街の中心だ。そこを起点に、官公署的な建物があちこちにあり。そこで働く者の夕飯でも用意しているのあろう屋台が出始めていた。


 冒険者ギルドに着くと、ディアナは受付にギルドマスターと話がしたいと言った。カードを見せると、戸惑っていた受付は即座に奥に向かった。


「もしかして、ディアナって結構偉い人?」


「いや、そうでもないぞ。ただ、森で出た魔獣を倒してはここに換金しに来るからな。まあ、ギルドから見た仕入先かな?」


 うーん。ディアナの自己評価は当てにならない場合がある。まだ判断は早いだろう。

 そうこうしていると、受付の職員が奥に案内してくれた。なんの変哲もない質素な会議室、を横目に通り過ぎて、最奥の豪華な応接室に通された。


「ようこそ、歓迎するよ、エルフェンシュピーゲル君。」


 開口一番の挨拶だった。ディアナもびっくりしている。何者だこのギルドマスター?


「おっとすまない。驚かせるつもりはなかったんだ。だが、君、人間にしては魔力が異質すぎるし、ディアナが連れてきたということを加味すると、やはりエルフェンシュピーゲルだろう。」


「それは答えになっていないように思いますが?」


「ああ、済まなかった。今でこそ人間みたいな容姿だがね?私もエルフなんだよ。」


「ああ、ここのギルマスは街エルフだ。名前は、えーとなんだったか。」


「ずいぶんなご挨拶だな。ディアナ。俺はエーリヒ。しがないギルドマスターさ。」


 街エルフというのは森を棄てたくらいの意味だろう。あまりいい言葉ではなさそうだ。

 一方で、このエーリヒという男。油断ならないオーラが出ている、いや、切った張ったという意味でなくて、商談と言う意味で。

 軽薄な印象はブラフ。その裏でしなやかな闘魂と強かな商魂を感じる。


「よろしくお願いします。私はアキラ。」


「ははは、ちょっと警戒させちまったかな?まあかけてくれ。すべてを話そう。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る