第22話 フロレシアという街
「入城証?これだ。エルフのディアナ。ハンターズギルドが発行している。」
「おう、ちょっと待っとれ。照合するからな。」
フロレシアの城門。門番がディアナからカードを受け取ると、奥の水晶球にかざすと青く光った。
「うん。大丈夫だな。そこの兄ちゃんは嬢ちゃんの連れかい?そっちの坊主はファビオだな。うん全員通っていいぞ。」
漁師と話してるのかと思うほど、豪快な声だ。彼らはエンジン音の中会話するから、自然と声が大きくなる。だが彼は訓練のゆえだろう。
「ああ、そうだ、兄ちゃんもどこかのギルドで身分証発行してもらえ。「都市の空気は自由にする」からな。」
「ええ、分かりました。」
懐かしい響きだ。「都市の空気は自由にする。」都市に逃げ込んだ農民は領主の元に引き戻されずに済むという話だったか。都市の自治権を証明する逸話だ。
「え?じゃあまずはうちの画房に来なよ!お兄さん、見るところ絵の才能ありそうだし。」
「「ええ?!」」
ディアナとハモる。多分デュエットの方が上手いと思う。
何を見てそう思ったんだろう?この幼いが偉大な芸術家のセンスは霊的なそれさえ秘めているのか?
「いやいや、昔から絵はからっきしなんだ。」
「ああ、とんでもない「画伯」だったからな。きっと「画仙」になれるだろうよ。」
ディアナはプフッと失笑している。あれは何を説明するときだったか、枝で地面に図を描いていたときだった。まあ、ひどい絵だ。
「とりあえずこいつはハンターズギルドに連れていくよ。ギルドに報告しておきたい事例もあるしな。」
悪魔の件と村の件だな。ディアナの顔が影が落ちた。
しかし、ファビオは気づかなかったみたいだ。
「ええ!?もったいないよ。是非来て!ね!」
「分かった分かった。ドミニコの親父さんにも挨拶に行くから、な。」
「もう、絶対だよ!」
「ああ、絶対行くさ。金が欲しくなってな。」
そういうと、ファビオは渋々別れ、自分の画房に帰っていった。
お兄さんも一緒に来るんだよ!と、念を押すことを忘れなかった。
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