第24話 エルフの伝承
「すべてを話すのはいいが、まずは私から報告だ。」
それもそうだ。凶事は早く告げねばなるまい。
1悪魔の出現を確認。
2ディアナの村の壊滅。
3俺の出現。
「これらの因果関係は全く分からないが、悪魔は私の炎でも焼き尽くせなかった。」
ディアナは淡々と話した。もう適応したのか。いや、こうでなければ生き残れない世界なのだろう。
「・・・そうか、そいつは予想外だ。そうか。辛かったな。」
「ああ、厄介なのは、まだ死んだか確認が取れない。死体も血痕もなかった。まあ、死んでいた方が幸せだろうな。それより、お前の方が心配だ。私は2週間を経た。お前は今聞いた話だろうに。」
「いや、心配するな。だてに村を逃げ出してないさ。が、寂しくなるな。」
重苦しい雰囲気。このエーリヒとかいうエルフもあの森の出身のようだ。
「さて、俺からも情報を出そう。が。これは極秘だ。他言無用で頼む。各所のギルドで悪魔あるいは悪魔と思しき魔物の報告が多数入ってきた。これは厄介なことになる。つまり、」
「「大魔王復活が間近だな。」」
ディアナとエーリヒの声が重なった。
「大魔王ってそんなにヤバいんですか?」
「そうか本当にこの世界のことを知らないんだな。かつて世界の半分を焼き払った悪魔だ。これはおとぎ話などではない。考古学的にも確認されていることだ。」
「そして、もう一つ確かなことはエルフェンシュピーゲルがその大魔王を封じたということだ。これは人類史でさえ各地の伝承に残っているし、エルフならだれでもそれが真実と知っている話だ。」
なんだか話がどんどん大きくなってきた。現実逃避してもいいだろうか。
「おい、そんな遠い目をするな。災厄はすぐに起こることじゃない。だんだんとその勢力を増してくるという話だ。今、すぐ倒せという話でもない。それまでに強くなっておくということが大事なんだ。」
「そうだぞ。私が居るから。大丈夫だ。」
ディアナの覚悟の決まった目が俺を見据えた。俺は、戦うしかないのか。
愚問だ。今さら逃げ出せるわけがないのだ。
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