第10話 魔法の練習

「おはよう。」


「ぁ、おはようございます。」


 ちょっとずつ言葉が丁寧になっていくディアナ。昨晩はやりすぎたかな?と反省する。

 ためしに彼女に魔力を流し込んでみたら、もっとすごいことになったからなんだろう。

 そう、魔力の感覚を掴めたのだ。魔力開削を一昼夜続けてもらったおかげだ。


「覚えてないだろうけど、魔力の流し方が分かった。こうだろう。」


 きっとドヤ顔をしていたに違いない。致し方あるまい。おもちゃが手に入ったらやることは一つだ。


「おお、できてる!できてる!凄いじゃないか。でもなんでだ?私の魔力は入っていかなかった。」


「良く分からないけど、俺は鏡の魔法の使い手なんだろう?ディアナが魔力を流し込むのを逆に反射していたとか?」


「ええ?そんなことあるか?いや、古代魔法だからな。何があっても不思議はないな。だが、確かにそれなら説明できる。私の方が乱れた理由がな。」


「そっか。謎が多いんだな。これからおいおい調べていくとしよう。」


 さあ、とりあえず朝ご飯だ。


 ディアナが作る様子を見ていたから、なんとなく覚えた。森の恵みスープは、ハーブを変えて飽きないようにしたのだが、ディアナはあまり頓着しないようで、同じ味付けでも構わないらしい。栄養バランスとか飽きるとかいう概念は無いのだろうか?


「うん。美味いな。」


 たんぱくなんだよなあ。味ではなく彼女の反応が。そういえばディアナって何が好きなんだろう?キスしながら抱きしめるとめっちゃ喜ぶことくらいしか、まだ知らないなあ。


「よし、朝も食べたし、魔法の練習にしよう。」


「やったぜ。お願いします。ディアナ先生。」


「とりあえず、魔力を外に出してみて。」


 かくして魔法のトレーニングが始まった。


「基本の形状ははボールなんだ。例えば【火球】。球が一番単純だろ?」


「えい【鏡球】!」


 なにもおこらなかった!


「あれ?」「なんでだ?」


 魔力の流れは完璧に模倣したはずなのだ。


「板状にしてみるか?あのとき、とっさに発動したあの時は板状だった。」


 今度は成功した。正方形の鏡が出現。どうやらこの魔法、曲線より直線がお好きらしい。


「おお、やはり魔術とは違うな。」


 でも、魔術と魔法って多分別の概念だよな。やれやれ座学の時間だ。

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