第8話 森の夜は早い
ディアナの拠点に着くと、彼女は俺用のテントを作り始めた。
さすがレンジャー手慣れたものである。俺はキャンプはからっきしなので、一応手伝ったが、後でまた教えてもらおう。
「でも、なんで二人分も用意があったんだ?」
「ん?まあ、救助者が出ることもあるからそのためだな。ノブレス・オブリージュ、強きものの務めさ。」
てきぱきとした設営の後に言われると説得力が違う。
森の夜は早い。鬱蒼とした森である。夕日の残照など、地表には届かない。幾層かの木の葉が光を食いつくしてしまう。
しかし、彼女の拠点は温かく明るかった。彼女の火の魔法のゆえである。しかも、光だけ取り出す魔法もあるらしく、暖色のあたたかな色合いだがほとんど熱が出ない。これは寝所に置かれた。幾分光量は抑え目だが、はっきりと見える。
「よし、じゃあ始めるぞ。」
そういうと彼女は服を脱ぎ膝立ちになって俺の腰にまたがる。俺は既に全裸で仰向けに寝ている。目と目が合う。とても気恥しいがそれはお互い様のようだ。
「とてもきれいだ。」童貞でも知っている常套句だ。
「あ、ああ。忘れられない夜になるだろうな。」少し緊張している。
無理もない。今宵、彼女は食われる側なのだから。
魔力を流し込んで、眠っている魔力を呼び覚ますらしい。へその少し下、丹田に彼女の手が置かれる。一瞬ヒヤリとしたが、すぐに人肌のぬくもりをじんわり伝えてくる。それだけで高度も硬度も上昇してしまう。
「どうだ。何か入っていく感じはあるか?」
「いや、まだ無いな。」と言うと
「分かった。出力を上げる。」と強張った声が返って来る。
だがしかし、何も感じないのである。
そして、何回か同じ言葉のラリーを続けた時に変化は訪れた。と言うよりも俺が気づかなかっただけだったなのだろう。
そういえば、暫く魔力出力を聞かれないなと思った時のことだった。
「はぁ、はぁ。」
やけに艶めいた声だった。下腹に集中していた意識をディアナに戻す。
そこには昼間の清楚で純情なディアナからは、およそ想像できないような淫靡な姿があった。
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