第6話 魔力開削

「あれ、さっき聞き流しちゃったんだけど、俺にも魔力ってあるの?」


 まあ、さっきは褒めて反応を見るのが狙いだったからしょうがない。


「なん、だと。」


 急にディアナの顔が引き攣る。


「え?なんかやばいですか?」


 しまった。またしても敬語になってしまった。


「いや、魔力を知らないということは、魔力開削をされてないのか?」


「魔力カイサク?」知らない言葉だ。


「いいか、アキラ。魔力を持つ者は外に出す必要がある。でなければ魔力が爆発し、周囲に甚大な被害が出る。」


 とても真剣な顔で俺を見つめる。青い瞳がすっと俺の目を見てくれた。


「例えば、私の場合だと、炎が噴き出す。」


 それはやばい。俺の場合はどうなるんだろう。


「まあ、君の場合は鏡魔法だから、なにかを反射するくらいだと思うが、エルフの私から言わせてもかなり古い魔法だ。どんな暴発が起きるか分からない。」


 どうやらここのエルフも長命種のようだ。


「その魔力開削はどうやってやるんだ?」


「・・・む、それはだな。」


 急に頬を赤らめたぞ。やばい、なんか地雷を踏んだ気がする。性的な意味で。


「その、はしたない女などと思わないでほしいのだが、その、まぐわいをするのが手っ取り早いんだ。」


 純情派だったか。うっすら涙さえ出ている。いや、待て。この娘だってその魔力開削を終わらせているんだろう?

 そう聞くと意外な答えが返ってきた。


「乳児と大人では、開削の手順が違う。特にエルフは生まれつき魔力が多いんだ。生後まもなく開始され、2年ほどかけて緩やかに行うから別に、その、まぐわう必要はない。が、大人になってしまったら、短期間でやり遂げる必要がある。」


「え。ええええええ。・・・あの、どうにかなりませんか?」


 会ってすぐの人といきなり致すのはハードルが高いどころではない。そもそも俺、童貞なんだ。避妊具をつけても妊娠リスクはゼロにならんし。


「そんなに嫌か。・・・やはり胸か。ないとダメなのか。」


 まずい。凄くしょげてる。誤解は解かねばなるまい。


「いや、とても綺麗だよ。ただ、こんなパッとしない男と一夜の過ち的なのは、こちらでもよろしくないのかなって。」


 パッと顔が明るくなった。この人、めちゃめちゃ顔に出るな。まあ、かわいい。とてもかわいい。

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