独
りゅしぇんの活動は「コンテンツ」ではあるけど、その先にあるもっと人間的な部分を見てほしい、認めてほしいという思い、願いが感じられる曲だった。
"人間が抱える「誰かに認められたい!選んでほしい!」という気持ちを歌にしました"というインタビュー記事は、嘘偽りない本音だった。
「あなたは欲しがりで
見てくればっかり気にしてる
YESorNO
白い皿の上で
開かれる品評会
右へ倣えすれば
見慣れたお馴染みのビュッフェに
あなたの目線の中には
僕はいますか」
「あなた」はコンテンツとしてのりゅしぇんを選ぶ立場の人たち。世にある無数のコンテンツを眺めて、あれもこれも欲しいと手に取る欲張りな人々。
「見てくれ」とは、表面的な情報とか、カテゴライズされた属性とか、わかりやすい「味」。
これはいる、これはいらない、と欲しいものを選り分ける作業が目の前で常に行われている。
多くの他人と同じような目線で眺めた時、予定調和なコンテンツが飽和する世界で、僕(りゅしぇん)はあなたの目に届いていますか?
「彩られた皿に綺麗事並べ
「当たり前でしょ」
ってもうさ
僕のこと馬鹿にしないでよ」
綺麗事を並べた皿。物事の表面しかなぞることの出来ないような価値観でモノを選んで、「これは誰にとっても良いと言えるものでしょ?」と言ってしまえる姿。それを見ると、自分を馬鹿にされてると感じる。自分はそうやって「良い」と思うことが出来ないから。
「幸福論押し付けないで
痛みと苦しみが見えない
これが正解(りそう)だって
幸せ願って
そんな世界はマガイモノなんだよ
ノー天気雨浴びて
溶かして同じ黒に染める
偽善者じゃなくて オトナじゃなくて
そんな貴方を羨んでたいだけ」
あなたが考える幸せを押し付けないでほしい。
他人が感じる痛みや苦しみに鈍感なままで唱える理想、それを誰かに勝手に当てはめるな。そんなものは正解でもなんでもない。
能天気な誰かの言う「理想」や「幸せ」を浴びて、それが黒い感情として自分の中に溜まっていく。
「幸せ」を単純に享受することができるあなたが羨ましい。それは偽善や、大人びた意見ではない。本当にそう思っている。
「僕のこと馬鹿にしないでよ
みんなに愛されたいな(ね)
欲張りな僕は猫をかぶる
だから並べないで
見比べないで
余所見くれずに僕を選んでよ
YESorNOかは微笑んだ
円卓並べた万線は
あなたと幸せ巡り合わせ
食す時だけそばにいたいから
誰よりも不器用で
歪んだ平凡な僕は
小さな幸せ寄せ集め
そっとあなたを羨んでたいだけ
冷めないうちに さあ
手を合わせて」
僕のことを馬鹿にしないで。僕はみんなに愛されたい。幸せが足りない。
たくさんの人に愛してほしい自分は、自分を取り繕ってしまう。
そんな僕だから。
周りと並べないで、見比べないで。他のものなんて目もくれずに僕を選んでよ。
自分を選んでくれたなら、「あなた」の選択は僕に微笑んだ。「円卓を並べた万線」は、無数にいる人たちの中で、自分を選んでくれた「あなた」と僕が着いたテーブル。
選んでくれたこと(巡り合わせ)で感じる「幸せ」。あなたが僕を選んでくれて、僕を享受している間だけは、そばにいたい。
誰よりも不器用で、歪んでいて、平凡な存在の僕(りゅしぇん)は、日々の中に転がっている小さな幸せを寄せ集めて生きている。
幸せをたくさん感じることのできるあなたのことが、羨ましい。
僕を選んでくれたあなたの気持ちが冷めないうちに、はやく食べて。手を取って。
「僕のこと馬鹿にしないでよ」の歌い分けも良かったけど、「だから並べないで、見比べないで、余所見くれずに僕を選んでよ」の迫力が凄すぎた。節々で寂しさも感じさせる。
良かった、という感想は少し違うかも。アーティストとしての凄みを感じた。
MVも楽しみ。
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