アイディスマイル

・アイディスマイル

インタビューで「ただのオタクになっちゃうほど、すごく好きな曲です。」と話していたので、某ゲームの某キャラについて、少し調べてみた。

百科事典に載っていたキャラ紹介(多分)の動画を見て、印象的なセリフがあった。


「でも、ボクがカワイイ服着たり作ったりしてると、驚かれちゃうこともあるんだよね。

うーん、ボクはボクなんだから、もっとちゃーんとボクのこと見てほしいなって思うんだけど……」


ちゃんとボクのことを見てほしい。そう考える理由は人それぞれあるだろうけど、同じ思いを抱いて生きている人は多いはず。自分のことを理解してもらえない人なら、なおさら。


「交わる 線と線

着飾る 大好きな アレコレソレ

そう いつだって 譲れないアイデンティティ」


「着飾る大好きなアレコレソレ」の時に、後ろ(メンバーのいる方)を向いて、指を立てて口元に当てる仕草。自身が好きなファッションと、それとは相容れない一般常識。だけど、自分の好きなものは譲れない。

初めて聴いた時は恋愛の歌だと思ったけど、だとすれば「アイデンティティ」という言葉はかなり浮いてる。ラブソングではあまり聞かないワード。


「重なる 円と円

深まる たぶんもっと face to face

ねえ いつだっけ 飛び越えられない マイノリティ」


重なる円と円は、ミズキとメンバーたち。初めはインターネットを介しての関係だったけど、顔を合わせて、より深い関係に、距離が近づいていく。

マイノリティは少数派を指す言葉。自分自身がマイノリティであることで抱える葛藤を乗り越えられない。

ステージ上の緑仙は、指の動きで重なる円の表面(face)を描く動き。本家のMVもそうだけど、人と人との関係性を「点」や「線」、「円」「糸」として、繊細な手や指の動きで表現しているのが、とても素敵。


「進めない 行き止まりでも

繋いでたいなら 外せない 秘め事」


他のメンバーとの関係性に行き詰まりを感じる。壁がある。一歩踏み出せない理由がある。周囲との関係を壊したくない。言ってみたいけど言い出せないことを、胸に抱えている。

これは、ミズキという特定の人物だけじゃなく、人に伝えることを躊躇ってしまう「何か」を抱えている人みんなに当てはまるはず。


「惹かれ 逢って 存在 綴る セカイ

共鳴らせたなら

ねぇ このままで ままで いられるかな

淡い期待に通せんぼ 塞いで曖昧 知らん顔

こうやって繋いでいられたなら」


惹かれて、会って、いっしょに生み出していくもの。曲や動画などのクリエイティブに限らず、人と人との関係の中で広がっていく世界そのものでもある(セカイ、という概念についてはよく分かってない)。

共鳴らせたなら、は価値観や体験を共有することで、お互いをより知って、大切な存在になっていくことかな。手で鐘を鳴らす動き。


このままでいられるかな。そうやって仲を深めていくことを通じて、関係性を保っていられるかな。そして、互いに信頼がある状態でなら、秘密を打ち明けたとしても、このままの関係でいられるかな。そんな思いが伝わってくる。指で手のひらをくるくる、悩んでる様子。


「淡い期待に通せんぼ、塞いで曖昧知らん顔」

肘をついて通せんぼ、耳を塞いで知らないフリ。一連の振り付けがスムーズ。

自分の気持ちを打ち明けられるかもしれない、という期待をくじかれて、その度に曖昧な返事をして心を塞ぐ。この歌詞は、人によってもっと解釈が違うかも。

「こうやって繋いでいられたなら」

他人と自分を繋ぐ「糸」を手繰り寄せる動き。


「いたいいたいのどっちだ」

このままでいたいのか。

このまま痛みを抱えたままなのか。

痛い思いをしてでも打ち明けるのか。

何を選ぶべきなのか、わからない状態を表す素敵だけど苦しい歌詞。


「ねえ いつだって 諦めたままのディスタンス」

シークレット・ディスタンス。


「縫い合わせて 編み合わせて

繕ってさ 何が出来るだろう

切り取って 笑って 距離とって

笑えるけど 笑えてるけど」


糸、面、線。縫ったり編んだり。これらのワードは服のアレンジを自ら裁縫で行うミズキのキャラとしての特徴、そして内面まで表現していて、本当にすごいと思う。


自分の気持ちを繕ったり、大事な部分を切り取ってしまって。その状態で笑っているけど、それって本当の自分なんだろうか。


「滲みだした境界 揺らぐ未来

伝えたなら もうこのままじゃ ままじゃ」


本当のことを言い出したい気持ち。でも、もし伝えたら、今の関係は壊れてしまうかもしれない。一体どうしたら?たくさんの葛藤を感じられる。


音楽は、歌詞もそうだし、ダンスや振り付け、グループでの相互の動きで、いろんなことを表現することが出来るんだと、改めて気づかせてくれた曲。とても好き。

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