殺屋中毒
・564屋
新衣装お披露目曲。ステージに戻ってきたりゅしぇんを見て、ざわつきや歓声、悲鳴をあげるお客さんと、満足げに笑顔のりゅしぇん。
演出含め、セットリストの中でも特に作り込まれたステージだった。新衣装が世に出るタイミングだから、気合を入れて準備したのが伝わってきた。
照明の色合いが印象的。深い青にアクセントのマゼンタが影のように縁取る(ふちどる)。衣装が白色なので、全身が染まってかっこいい。
マイク片手の振り付けがとても良い。特に「バラバラ、そうバラバラドグマ」のパート。手を外側にかざして、一度引き、もう一度横に広げて最後は下に振り下ろす。青色に落ちる照明も相まって、超かっこいい。ブルーレイだと、カメラワークもめちゃくちゃいい。見てほしい。
音源だと比較的クールな声色だけど、ライブだとドレイクさんに寄った感じの、強くて艶のある歌い方。「息止めて。「過去の話さ。」」の後に入る「ねぇ」の言い方が良い。
「あいまみえて呆れた目で両成敗!」で手を返して親指を下に立てるハンドサイン。そこからスムーズに間奏の振り付けに移行。小刻みなステップと、手を交互に前へ突き出す動き。マイクを手の中で遊ばせる感じがかっこいい。
歌い出す前の、少し屈んで流し目の表情、軽くターンするところは色っぽい。
サビではスクリーンに映るたくさんの丸いライトがフラッシュして、カジノとか夜の街みたいな、ゴージャスな雰囲気も加わる。
落ちサビでスポットライトに照らされる姿は、それまでの華やかさと対比されて、寂しさを感じさせる(歌詞も隠してた本音をさらけ出すところ)。ここでお札が降ってくるところが、自分の気持ちを何かで誤魔化しているようにも見える。にくい演出。映像だけじゃなく、実際にお札を降らすアイディアが面白い。お客さんにとっては忘れられない体験だし、ライブに行った思い出の品にもなるし。
564屋モチーフと恋愛の駆け引きをかけた曲で、かっこよさとその下に隠した弱さが見える歌詞が面白い。3人で歌う元Verも、歌い方や世界観の中での人物像に特徴があって良い。最初に表れるタイトルロゴ、画面デザインがかっこいい。蔑んだような目つきの3人と、無表情な3人が描かれたパターンのギャップが良い。
「問題はないか?
暴れすぎたようだ後始末は順調さ
愛憎に騙されて
消えゆく見ごたえのないメロドラマ
そうそう、慎重に 心臓、突き刺して
バラバラ、そうバラバラ
ドグマバラバラ そうバラバラ」
曲の頭では、容赦のない564屋像。相手の心を的確に「バラバラ」にこわす。愛憎に踊らされたターゲットはいなくなる。
「会いたい証明 ヒットマンに献上クライナー
今にマジになっちゃいけないんだって
わかりそうなものだけれどね
会いたい。ボウメイ・クールダウンは永遠みたいね
今にマジになって狂おしくったって
あいまみえて呆れた目で両成敗!」
あなたが会いたいと思う感情の証明として、ヒットマンである私に心を撃ち抜かれる。マジになっちゃダメだよ?と余裕の態度。言葉遊びがたくさんあって、曲中何度も繰り返すごとに言葉の持つ意味が少しずつ変化していくのが面白い。
「最低に慣れた後
逃げも隠れもさせてはくれないんでしょう」
難しい歌詞。相手の感情を弄ぶ(もてあそぶ)最低な行為に慣れた自分を、そのまま放っておくわけにはいかないでしょ?というニュアンスかな。相手を焚き付けるのは、本気で向かってくるのを期待してるから、とか。
「血統書付きの可愛い僕の子
サラブレット 絶望の予言を
窃盗犯に恋するセブンティーン
濃紺の春をねえいたぶらないで
猛獣手懐けるみたいに流れる赤いものを味見する
淘汰!該当しなけりゃ跪いて息止めて。
「過去の話さ。」」
前半は世界観や564屋の相手をよりイメージさせる言葉。相手の心を惑わせて、自分に向けられた好意とか執着を見定める。お眼鏡に敵わないようなら頭を撃ち抜く。「過去の話さ」は相手のセリフだろうか、多分。564屋に振り回されるのはもうやめだ、そんな決意に聞こえる。
「翳りに油断してたでしょう?果てまでついてこられるの?
一肌脱いでも救われない 幸せこそデッドエンドよ
翳りに油断してたでしょう?果てまでついてこられるの?
一肌脱いでも救われない」
564屋の後ろ暗い部分、弱さ、隙をみて、チャンスだと思った?私に最後まで付き合ってくれるの?一肌脱ぐくらいの覚悟じゃどうにもならない。
「損害。」
舌打ち。損害は、564屋自身がダメージを負ってしまった、ということかな。つまり、相手の態度に心動かされてしまった。
「存外な成績
面影もない瞳でにらむ子に
愛憎を教えたの?
それなら使い物にはならないでしょう
そうそう、冷徹に 感情を捧げて
バラバラ、そうバラバラ
ドグマバラバラ」
564屋についてくることはできた?ダメだった。愛憎に溺れてしまった。そんな相手に対して、冷徹に対応する。感情を捧げて、自分の感情は表に出さぬように。
「劣等こそが最大の武器だろ?
はなむけに甘く濁る苦痛を
冥土なんて見えない避雷針
怯える気持ちはもう食べられてるんだ
早熟な悲劇を前に
情けをちらつかせる振りをして
そうさ甲斐性のない僕は
ここにはもう用もないと告げる、笑止。」
「劣等こそ武器だろ?」は564屋が相手に告げるセリフ。はなむけに、とは「これから去る人に」という意味。冥土=終わりはどこにあるかすら見えない、罠みたいなもの。「怯える気持ちは食べられてる」は、564屋自身が失うことを恐れ始めてる、ということかな。
「早熟な悲劇(=すぐに訪れた終わり)」、情けをちらつかせる振り、逃げていく相手に対して余裕を演じる。甲斐性のない自分は振られる前に振ってしまう。笑止=笑えるよね。
「「信じれば救われる」と口先だけの神よ
ほだされたふりをしてその懐で血を流そうか」
無責任な言葉を残した神に対し、自分が標的にしたのと同じように、血を流してみせてやろうか(嘘の愛情を向けてやろうか)?そうすれば「信じれば救われる」なんて言えなくなるぜ。
「会いたいなんて言い淀んだ吐息は主題歌
演じてる余裕もそろそろないがわかってくれてる様子もないな
改ざんされた記憶も今日はひとつずつリロードして
地獄みたいな口 そらさず見てたって
愛はないが似たもので誤魔化して」
会いたい、なんて言い淀んでしまった。564屋を演じてる余裕はないけど、相手がそれをわかるはずもない。
改ざんされた、ということは、相手に心動いてしまった自分自身の思いをリロード(リセット)するという意味かな。
(自分の)口から出る言葉は地獄のよう。そらさず見ていても愛ある言葉は吐けないがそれらしいもので誤魔化す。あなたもそれで誤魔化してほしい。
「会いたい証明 ヒットマンに献上クライナー
今にマジになっちゃいけないんだって
わかりそうなものだけれどね
会いたい。ボウメイ・クールダウンは永遠みたいね
今にマジになって狂おしくったって
あいまみえて呆れた目で両成敗!」
会いたくなったのは、マジになったのは自分。ボウメイ・クールダウン(亡命=逃げる、クールダウン=気が失せる)は永遠みたいね。つまり関係の終わり。二人の駆け引きは両成敗で終わり。
3人分の歌割りをよく踊りながら1人でこなしたな、と思う。衣装披露にふさわしい出来栄えのステージだった。
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