chapter14:What is the heart?

私とアラタ様はミスズ様をお部屋まで付き添い、落ち着かせるためにお話をすることにした。


「ミスズ様、本当によろしいのですかお部屋に入っても?」


「うん、せっかくならいろいろと話したいなって思ったから...」


人間の女性の部屋がどのようになっているかわからなかったがアラタ様は最初に部屋を提案された時にヤキモキと落ち着かない素振りを見せていたのできっととてもヤバい状況だと考えられる。


部屋の前まで辿り着くと私たちを少し部屋の前で待たせて部屋を片付けるとのこと。


「アラタ様、ミスズ様のお部屋は汚いのでしょうか?」


「シーッ!ホープそれは絶対ミスズさんに言っちゃダメだからね。」


アラタ様から制限をされたが改めてどのように部屋が変わるのかが見てみたいところではある。


「ごめんね、お待たせ。入ってー」


ミスズ様が部屋から出てきて片付けが終わったことを私たちに伝えてきた。中に入ると、部屋には可愛いクマやウサギのぬいぐるみなどがベッドに置いてある。床には服や下着がそこら中に散乱している。


「あ、ヤバ!」


ミスズ様は慌てて下着を服で覆って隠した。アラタ様は幸い下着に気づいていないためミスズ様はホッと安心していた。


「はい、飲み物!」


そう言ってミスズ様はグラスに四角い角砂糖のようなものを入れてテーブルに備えられてるスイッチを押すとアームが飛び出し、キューブに向けてレーザーが打たれる。するとそれは溶け出し、液体になった。中身はストレートティーだ。


「ありがとうございますミスズさん。」


飲み物は数十年前からこのように手軽に作れるようになった。


「ホープくんは飲み物飲めるの?」


「飲まなくても基本的には大丈夫ですが人間に近いように設計しましたので飲めますよ。」


「そうなんだ、そしたらホープ君にはこれね!」


再びミスズ様はスイッチを押しレーザーが打たれると溶け出した。私のグラスの中身はオレンジジュースだった。


「ありがとうございます。」


「どういたしまして!」


先ほどまで泣いていたため、目の周りが赤く腫れていたが今はそんなことがまるでなかったかのような笑顔を振り撒く。


「ミスズさん、大丈夫ですか?」


「はい!2人には迷惑かけちゃってごめんなさい。」


「いえいえ!私こそ大泣きしてしまってすみません!いきなりは困りましたよね。」


「大丈夫ですよ。お父さんはどんな方だったんですか?」


「お父さんは、とても優しい人でした。

開拓者としていくつもの星を巡っていました、【Endless Dreams】に乗ってデバイスの回収もしたほど自慢の人でした。」


「え!?あのロケットの搭乗者だったんですか!僕はあの調査を子供の頃に聞いていつか宇宙に出てみたいと思っていたんです!」


「そうだったんですね!アラタさんのきっかけにもなったんですね!」


お二人がミスズ様のお父様についていろいろてま語っている。その偉業もデータとして調べていくと改めて人類が宇宙に一歩足を進めたきっかけとなったのだと。


「ホープくんはどう思う?」


「失礼しました。何がでしょうか?」


「お父さんは、夢を叶えられたのかなって。」


「お父様の夢って何かわかりますか?」


「お父さん、自分の開拓で人類を変えていきたいって口癖のように言ってたんだ...

でも常に危険と隣り合わせだったから、いつか私を置いていっちゃうんじゃないかって思ってた。」


確かにミスズ様のお父様が情報を入手したことにより、人類はついに本格的に宇宙へ向けて開拓を始めた。それによってついに人類が抱えている問題の大半を解決できる。


だがヒストリッカーのような生物もたくさん存在し、実際にマリスにいた開拓者は壊滅してしまった。良くも悪くも宇宙という存在は人類を変えたのだと。


「ミスズ様のお父様は人類を変えたかと私は考えます。」


ミスズ様は私が話したことに驚いた顔をした。


「そっかぁー...うん、ありがとホープ君!」


どうやら無事に気持ちを落ち着かせることができたようだ。アラタ様もミスズ様が落ち着いたのを確認し飲み物を飲み干してその場を立つ。


「そしたらホープ、僕たちは行こっか。ミスズさん部屋に招待してくれてありがとうございます!」


「こちらこそ聞いてもらってありがとうございます!少し1人で考えたら皆さんのもとに合流しますね。」


私たちはミスズ様の部屋を後にした。



       ーーーーーー


「どうだった?ホープから見て。」


「ミスズ様の感情の起伏パラメーターも正常に回復致しましたのでしばらくお時間を与えれば大丈夫かと。」


私には人の感情の機微をパラメーターによって判断する機能が備えられている。そのような機能をなぜアラタ様が搭載したのかはまだこれから知っていくことにはなる。


「そういえばホープの部屋を見せてなかったね、おいで。」


アラタ様は私に部屋を用意してくれていたのだ。どうやら隣はアラタ様の部屋になっている。私が最初に目覚めた場所だ。隣の空き部屋をアラタ様が許可をもらい用意してくれたのだった。


「じゃあ部屋の中に入ってみようか!家具とかも用意したんだよ。」


アラタ様が部屋に入ろうとした時、何かに気づいたように驚いていた。


「ちょっと待って...」


「どうされましたか?」


「部屋の中に、誰かいる...」


私の部屋に何者かが部屋の中で何か音を立てているとアラタ様は恐怖の顔をして話す。私たちは持っている武器を構えて部屋の中に静かに突入する。静かに忍び足でゆっくりと部屋の中を見渡しながら確認する。


部屋の中にはシンプルな家具、ベッド、テーブル、イス、そしてテーブルの上にディスプレイボードゲームなどの遊び道具などが置いてある。飾りなのか望遠鏡がベッドの横に置いてある。


今はそれよりも部屋の中にいる侵入者が誰なのか正体を明かさなければならない。音のする方を聞いてみると、どうやらユニットシャワールームから聞こえてくる。一歩一歩相手に気づかれないように近づき、目の前まで来た時にアラタ様の方を見る。


「いいかいホープ、無茶だけはしないでね。下手をしたらヒストリッカーが船内に忍び込んだ可能性もあるからね。」


「わかりました。」


私は静かに武器を片手に持ち、スライドドアを開けるためにボタンを押そうと手を伸ばす。そしてボタンを押す。


「動かないでください。」


私は少し強めのトーンで侵入者に呼びかける。


「え?」


部屋の中にはシャワーを浴びている女性の姿があった。もちろん服を全て脱いでシャワーの湯気で中はもわんと視界が悪いため詳しくはわからない。だが顔はハッキリと見えた。


「ホ、ホープ!?」


「カスミ..様?」


侵入者の正体はカスミ様だった。ところどころうっすらと見える傷が証拠だ。


「ってホープ!ダメだよ閉めないと!?」


「ちょっ、えっ!?アラタくんまで...///」


カスミ様はシャワーのせいなのか体中が赤く火照っていた。


「失礼しました。」


私はそのままボタンを押しドアを閉めた。その後、一部を除いたアラタ様はカスミ様に何発か殴られて気絶させられる羽目になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

希望のマリス 希塔司 @abclovers0104

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ