第43話 楽しい会話の後に

「では、今日の授業を終わります。みなさん、お疲れ様でした」

 翌日、レイカの授業が終わり、一気に騒がしくなった教室に一人、少し暗い顔で教科書を片付けるマオ。ふぅ。と一つため息をついて、ログの机をボーッと見ていると、突然、ポンッと肩を叩かれた

「マオ、今日も練習する予定?一緒に買い物に行かない?」

 数名のクラスメイトがマオの周りに集まっていた

「ごめんね、今から練習する予定。みんなも一緒に練習する?」

「いや。止めとく。私達、マオほど魔力も魔術も上手くないし」

 返事にウンウンと周りにいた生徒達が頷く。それを見てマオが首をかしげていると、近くにいた一人がグイッと顔を近づけた

「それよりさぁ……」

 授業内容やフランの事を話しはじめたマオ達。楽しそうに話す様子をレイカがフフッと微笑み教室を後にした



「さて、そろそろ帰ろっか」

 マオと話していたクラスメイトの一人がくるりと教室の中を見渡しながらそう言うと、各自荷物を取りに机に向かった。ガタガタと聞こえる音を聴きながらマオも教室を見渡した

「じゃあね、マオ。大会優勝目指して頑張ってね」

 教室の出入り口で手を振りそう言うと、マオが不思議そうに首をかしげた

「あれ?私、大会のこと話した?」

「ううん、聞いてない。けど、みんな知っているよ。マオとフランが出たって」

「そうそう。大会後すぐにね、フランは使い魔で珍しいからすぐ噂が広まってマオとフランだってなったんだよね」

「そうなんだ……」

「じゃあ、また明日ね」

 またマオに手を振り教室を出ると、マオも手を振り返し見送ると、一人になった教室にふぅ。とマオのため息ついた音が響いた。机に突っ伏してボーッと窓から外を見ていると、突然頭にゴンッと物が当たりバサッと音をたて床に落ちた

「痛い……何?」

 当たった場所を手で押さえながら、音がした方を見ると、鞄に入れていたはずのログから預かった本が床に落ちていた。不思議に思いつつも本を拾いパラパラとページをめくり書かれている魔術等を流し読んで、パタンと本を閉じた

「落ち込んでる場合じゃない。ちゃんと使えるようにならなきゃ」

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