ウィッチクラフトあんどログ

第44話 ちょっと一息ついでに

「この術は使えそうか」

　その頃、ログは家で自室で本を読みコクリと紅茶を飲んでいた。パラパラとページを開いて読んでいると、突然家がグラリと一瞬揺れて、テーブルに置いていた紅茶が入ったコップも揺れて少し零れた

「フラン、大丈夫か？」

　自室を出て、向かいにある部屋の扉を開け、部屋の真ん中で浮かんでいたフランに声をかけると、フラフラと体を揺らしペタンと床に倒れた

「ええ、なんとか……」

　ぐったりとした表情と声でログに返事をすると、フランの側に一冊の本が落ちた。ログがその本を拾い、パラパラとページをめくりパタンと本を閉じると、まだ倒れているフランをそっと優しく拾い上げた

「魔力を使いすぎたな。少し休憩しようか」

「そうですね、そうします……」

　体をフラフラと揺らしながらログの肩に乗り、一緒に部屋を出て、キッチンへと向かう二人。ログが手際よく紅茶の用意をしていると、少し元気になったフランもお菓子の用意をしはじめた

「フラン、あの魔術は厳しそうか？」

「いえ、大丈夫です。ただもう少し取得に時間がかかりそうです。今日はマオさんが来なくて良かったです。たぶん心配をかけてしまいますから」

　そう言いながらお菓子を入れていた戸棚を開けると、空っぽの戸棚の中を見て、フランが驚いた顔でログの方に振り向いた

「お菓子がない……」

　フランの悲しげな声を聞いて、ログも戸棚の中を見る。お菓子がないのを確認すると、しょんぼりとしているフランを見てフフッと笑った

「じゃあ買ってこようか」

「今からですか？」

「後で少し気分転換で外に出ようと思っていたんだ。フランも一緒に行こうか」

「ええ。では、私もご一緒に」

　用意していたティーカップ等をそのままにして、フランはログの肩にまた乗り、話をしながら玄関へと向かう

「ついでにマオさんが好きそうな紅茶やお菓子を買っておきましょうか」

「フランが良いなら……」

　フランの話に返事をしながら玄関の扉を開けると、門の外でウロウロと動くマオがいた

「マオさん、何をしているんですか？」

　フランが声をかけると、驚いたマオが一歩後退りして、あたふたと家の周りを見渡していると、フランがマオの肩にちょこんと座った

「二人とも、どこか行くの？」

「ええ、紅茶を切らしたので買いに行こうかと。マオさんも一緒にいかがですか？」

「えっ、でも……」

　恐る恐る玄関の扉を閉めたログを見た。視線に気づいたログがマオの肩に乗りご機嫌なフランを見て

、はぁ。と一つため息をついた

「フランが良いなら構わない」

　ログがそう言うと、フランが嬉しそうにマオの頬をぎゅっと抱きしめた

「では、みんなで行きましょう。マオさんの好きな紅茶も買わないといけませんね」