第42話 止められない好奇心
「ちょっとマオ、疲れているなら部屋で休みなさい」
ログの家から帰宅後、リビングにあるテーブルに突っ伏してボーッとしているマオに母親のカナリヤ声をかけた。マオがちらりとキッチンにいるカナリヤの方に目線を向けて、はぁ。と一つ深くため息をついた
「そんなため息をつくほど練習しているの?」
マオの様子を見て心配そうに話しかけると、ゆっくりと体を起こしてうーんと背伸びをした時、リビングの入り口からフフッと笑う声が聞こえてきた
「まあどんなに練習したって私には勝てないけどね」
声が聞こえて振り向くと、お風呂上がりで髪をタオルで拭くミオが立っていた
「ミオいたの?」
「そりゃ家だからいるよ」
マオのいるテーブルの向かいに座ったミオ。同時にキッチンに置いてあったはずのコップに入った飲み物がフワフワと浮かんで来ると、少し飲み物を溢しながらテーブルの上に止まった
「マオは今、なんの魔術の練習しているの?」
飲み物を飲みながらミオが聞くと、マオが少し困ったように少し首をかしげた
「いや、それが……」
どう言おうか言葉に困っていると、テーブルに置きっぱなしにしていたマオの鞄をミオが指差した
「もしかして、あの本に書いてある魔術?」
少し鞄から飛びている本を見ながらミオが問いかける。マオも鞄がある方に目線を向けると、鞄から少し出ていた本がふわりと独りでに浮いて、ミオが手に取った
「ちょっと……」
慌ててミオから本を取り返そうと手を伸ばすが、ミオは体を横に向けマオの手を避けながらパラパラとページをめくる。手を伸ばして手を振り続けるマオと気にせず本を流し読むミオの二人の様子を見ていたカナリヤが、呆れたようにため息をついた
「ミオ、いい加減止めなさい」
カナリヤの注意を聞いて、少し頬を膨らませ本をパタンと閉じた
「まあいいや、書いている内容も大体分かったし」
本が独りでに浮かんで、マオの元に行くのを見ながらミオがそう言うと、飲み残していた飲み物を一気に飲み干して、椅子からゆっくりと立ち上がった
「私もその本の魔術、練習してみるよ。楽しみにしておいてね」
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