第36話 同じ時間の中でも
「ただいま」
ミオが、はぁ。と疲れた声で帰ってきた。重い足取りで家の中に入ると、リビングでおやつを食べようとしていた母親のカナリヤと目があった
「お帰りミオ。一緒におやつ食べる?」
「食べるー」
「良かった。今日はマオが遅くなるって言うから一人で食べきるところだったわ」
そう言いながら、ミオに紅茶を淹れるため椅子から立ち上がったカナリヤ。それと入れ替わるようにミオが椅子に座ると、テーブルに置かれたお菓子を一つ手に取った
「またマオは練習をしてるの?」
「そうみたいね。ここ最近練習ばかりだし、魔力も魔術も強くなっていると良いわね」
「私はあまり強くなっている様子は感じないけど」
「あらそうなの……。それは残念ね」
ミオの話を聞いて寂しげに返事をしながら紅茶を淹れたコップを差し出すと、お菓子を食べ終えたミオがもう一つお菓子を取って食べはじめた
「ダメですよ!ちゃんと術は書かないとダメです!」
その頃、ログの家の庭ではマオが書いた魔方陣を見たフランが怒っていた。間違いと言われた場所を見て、
「えー、このくらいは大丈夫だよ……」
「いえ、マオさんの魔力が高く、使いこなせていれば大丈夫ですが、練習中の今はちゃんと書かないと危ないでので絶対ダメです」
「もー仕方がないなぁ……」
仕方なく練習中の魔術が書かれた本を見ながら書き直しはじめると、フランが険しい顔で隣で見ている
「どうやら無理そうだな」
二階の部屋で二人の様子を見ていたログがはぁ。とため息をついて呟く。キィっと窓の音を鳴らしながら窓を開けると、白い鳥が入ってきてログの右肩に乗った
「世話になったな。また何かあれば宜しく頼んだよ」
右手の人差し指を伸ばしそう言うと、白い鳥がログの指先に一瞬止まって、翼を広げ空へと飛んでいった
「羽根が……」
魔方陣を書き終えたマオの目の前にヒラヒラと白い羽根が一枚落ちてきて、地面に落ちた羽根を拾い空を見上げる。一羽の鳥が飛んで行くのを見つけ見ていると、マオの様子に気づいたフランが右肩に乗り、書いた魔方陣を指差した
「よそ見をしている場合はありませんよ。どんどん練習をしましょう!」
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