第33話 明るい声と優しい微笑み
数日後、グレニア学園の授業が終わり帰るためガヤガヤと騒がしい教室の中、一人ボーッと外を見ているマオ。目を細め視線をログの机のある方に向けた。マオがログの家に遊びに行ってから会っていないフランを思いだし寂しげにため息をついた
「マオさん、ちょっと良いかしら?」
いつの間にかマオの隣にいたレイカが声をかけてきた。驚いたマオが顔を上げレイカを見るとマオの前に一枚の紙を差し出した
「今度の大会の申込日が明日なの。ログ君は参加するのか聞いてきてくれる?」
「私がですか?」
「ええ。フランちゃんも出場資格があるから、その分も合わせて三人分必要だし、お願いしてもいいかしら?」
「……はぁ」
レイカから三人分の参加申込書を受け取り返事をする。鞄に申込書を入れ、ゆっくりと椅子から立ち上がった
「あれ?ここだった気がするんだけど……」
前にログの家があった付近をウロウロと歩く。一度、フランの道案内で来た道も、あまり来たことのない場所ですぐに迷子になり、何度も同じ道を通っている
「疲れたから帰ろうかな……。面倒だから飛んで……」
はぁ。とため息をついて空を見上げると、マオの周りをグルグルと周り飛ぶ白い鳥を見つけた
「あれ?あの鳥、この前の……」
マオがそう呟いていると、白い鳥がマオの背後の道を飛んでいった
「ちょっとまって!」
慌てて白い鳥の後を追いかける。白い鳥はログの家があったであろう場所を遠く離れ、更に町外れのとある一軒家の木に止まった
「ここは……」
空を飛んで追いかけていたマオも家の前に降りた。前のログの家よりも少し小さい二階建ての家を見つめた後、キョロキョロと辺りを見渡す。周辺には家はなく、すぐ近くにある山がよく見える。人のいる気配がなく、白い鳥もマオもの所に来る様子もなく不安になっていると、バンッと二階の窓が勢いよく開いた。近くの木で止まっていた白い鳥が驚いて翼を広げ何処かへ飛んでいった。マオも窓が開いた時の音と鳥の動きに驚いてぎゅっと目をつぶった。ふわりと風が吹いて、木々が揺れ木の葉がマオの周りを通り過ぎた時、右肩が急に重くなり、恐る恐る目を開けると、ニコニコ微笑むフランがマオの右肩に座っていた
「やっときましたか!マオさん、是非とも家の中に入ってください」
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