第19話 寄り道の途中

「練習しないといけないのに……」

 ログがユグスと話していたその頃、つまらなさそうに授業を受けていたマオが、はぁ。とため息をついていた。ちらりとログの机の方を見てフランもいないのを確認すると、またつまらなさそうに教室の窓を見た。青空の中、ユラユラと動く何かが見えて目を凝らし見てみると、フランの隣でユラユラと不安定に空を飛ぶログの後ろ姿が見えた

「飛行苦手なの……?」

 段々と姿が小さくなっていくログを見ながらそう呟くマオの隣の席の女子が首をかしげた




「疲れた、ちょっと休もう」

「ダメです。もっと練習しましょう」

 フラフラと不安定なまま飛び続けたログ。ログの頭に乗るフランが何度か叩いて飛び続けるように発破をかける。疲れたログがずっとため息をついて飛び続けていると、学園から少し離れた場所にカラフルなお店を見つけ指差した

「フラン、何かあるぞ。スイーツのお店じゃないか?」

「ご主人様、ちょっと休憩しましょう、すぐに」

 フランがまたログの頭をバシバシと叩くと、ログが不安定なまま動きのままゆっくりと地面に降りると、フランがソワソワと落ちつかない様子でログの肩に乗り直した

「早く行きましょ。マオさんの分も買いますか?」

 少し先にあるスイーツ屋をご機嫌で指差すフランの髪が揺れる。一方ログはスイーツ屋とは逆の方を見て動かないでいた

「ご主人様、どうしました?」

「似たような魔力を感じる」

「似たような魔力ですか?誰の魔力ですか?」

 フランがログが見つめる先を見る。見たことのない公園があり、ログがその公園へと歩きはじめる。公園に入ってすぐ見えた広場に一人立っているのが見えて、側にあった木に隠れ、その人の後ろ姿を見てみると、一瞬見えた横顔にフランがログの肩をポンッと叩いた

「あの人、マオさんですか?よく似てる気がしますね」

「かもな、授業サボって来たんだな」

「ええ、でもなんだかマオさんにしては髪が長いような……」

 二人がヒソヒソと話していると、マオに似た髪長い子が二人の方に少し顔を向けた

「私より強い魔力……」

 そう呟きながら二人がいる木の方に振り向くと、木から覗いて見ていたフランと目が合った

「マオさん!」

「……マオ?」

 フランの言葉に不思議そうに首をかしげた女の子。笑顔で手を振るフランを顔を見た後、フフッと笑った

「ああ、お姉ちゃんが出た大会にいた使い魔か」

 そう呟くと足元に魔方陣が現れた。その瞬間、魔方陣から溢れる強い魔力を感じたログが木から少し顔を出すと視線が合った

「お姉ちゃんには今は内緒にしなきゃね」

 微笑みながらそう言うと、足元にある魔方陣が小さくなっていく。フランが気づいて近づいていくが、話しかける前に魔方陣と共に姿を消してしまった

「マオさんじゃなかったんですかね」

「髪が長い以外は似ていたけれどな」

 ログもフランの側に来て、魔方陣があった場所を見渡す。フランもログの肩に乗り、ふぅ。と一つ深呼吸をした。ふわりと風がなびき、フランのピンク色の髪が揺れると、ログの表情が険しくなった

「少し寄り道して帰る。その間にフランがどうにかしておいてくれ」

 ログがそう言うと、二人の目線がさっきまでいた木の方に向けると、そこには、さっきまで居なかったはずの白い鳥が一羽、二人をじっと見つめていた

「分かりました。ご褒美のスイーツを用意していてくださいね」

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