第11話 続 遠い国の返事 元気なキリエだけど
思いがけない出会いでした。メールボトル19は嬉しさでいっぱいでした。今日、宮子さんがこのクルーズをプレゼントしてくれたことに感謝しました。
橋本さんは舵をきって陸に向かいました。マリーナに着くときちんとモーターボートを係留して、宮子さんのお家まで送ってくれました。
ニャーモさんは、お花を全部もらってしまったので、代金を支払いますと言いましたが、橋本さんは、そんなものはいらないよ、何か分からなかったけどくじらの親子と海の中に咲いたような花がとても綺麗だった、と言いました。
お家に入ってからは、もう誰にもとめられないぐらいキリエさんが話し始めました。橋本おじさんのボートに乗ってからのことを、全部全部お話しました。宮子さんは楽しそうにその話を聞き、時に大声で笑い、良いクルーズになったのだと大喜びしました。
「手紙姉ちゃんごめんなさい。宮子さんにお話したかったよね。」
「いいのよ、キリエちゃんはずっと黙って我慢していたものね。それに今のお話はなかなか上手だったよ。」
話はいつまでも尽きませんでしたが、そろそろ休まなくてはなりません。明日は宮子さんにさよならして、関西国際空港に行かなくてはならないのです。
「明日は何時に空港に着けばいいいのかしら?」
宮子さんが聞きました。
「はい、7時に着くように行きます。だから夕方5時ぐらいの高速艇に乗ります。」
「分かりました。じゃあ、4時前に橋本さんに来てもらいましょう。徳島港まで車で送ってと頼んであります。
その時間まではまだ一緒に居られますね。」
宮子さんは何もかも手配してくれていました。
キリエさんがそっとニャーモさんに言いました。
「あのね・・・・・・・手紙姉ちゃんをここに置いていかなくていいの?宮子さん話し相手がいなくなって寂しいよね。」
ニャーモさんはキリエさんの優しさが嬉しく、それでもキリエさん自身の寂しさも感じました。
「そのこと、昨夜宮子さんに聞いてみたのよ。そうしたらね、メールボトル19はみんな一緒にいなくてはだめですよ。あんなに仲良しの手紙さんとキリエさんとボトルさんを、ばらばらにしてはいけないわ。私は寂しくありませんよ。いつでもお手紙でいっぱいお話ができますもの。って・・・・・・そう言ってくれたのよ。だから、手紙さんをここへは置いていかないわよ。」
それを聞いてキリエさんはほっとした様子でした。キリエさんはここで大好きな手紙姉ちゃんとお別れになることも覚悟していたのでした。
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