茶褐色の斑点

 ひところ友愛結婚などということが言われて、夫婦が恋人に、恋人が複数の友達に変化するような一部の流行があったけれども、為政家が人間性というものに誠実な考察を払うなら、これらのことは社会制度の根柢に於て考慮せらるべき重要な問題となるであろう。なぜなら人の真実の生活や幸福がそこに存しているからである。為政家が社会制度のみを考えて人間性を忘れるなら、制度は必ず人間によって復讐され、欠点を暴露する。

 まして、文学というものは常に現実に満足せざる所から出発し、いはば現実と常識に対する反骨をもって柱とし、より高き理想をもって屋根とする。政治と妥協する文学は一応は有り得ても、その政治が実現したとき、文学は更にその政治の敵となって前進すべきものである。より高きもの、より美しきもの、文学は光をもとめて永遠に暗夜を進む流浪者だ。定住すべき家はない。政治の敵であることによって、政治の真実の友となるのであって、政治は文学によってその欠点を内省すべきものである

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