怪訝

 見た目で決めつける奴ら、その重さも分からず容易く軽く見下し、何周回ってそこに辿り着いたかを想像することもできぬまま、ずっと裏の裏は表だと信じ切っている、"普通"や一般”という名の「異常な正常者」。そんなまともな人々の正気の沙汰に痛めつけられた結果が悲哀であり、芸術であると思う。

  俺の考えによれば、芸術は反逆精神の表れであり、時代創造的な激しい意志によって為さるべきものであると思われるに拘らず、最近日本文学の新らしい傾向は、老人の趣味に一致することを最も純粋と見做し、最も無気力な、自慰的な人間探究に過った亢奮を感じている。不動のもの、永遠のものは已に亡びている。我々は変化の中に、発展の一過程の中に、反逆から創造へ向う人間を探究し創り続けていかなければならない。

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