練武③
清華はまた自室でパソコン画面を食い入るように見つめている。
こんな結末で終わりにするつもりはさらさらなかった。元々の目的である徳次が仕事を辞めないようにするのを成し遂げられていないのに加え、このままでは自分がせっかくの孫の孝行を踏みにじったという罪悪感を抱き続けてしまうかもしれない。彼のような人間は図太く見えて、実はかなり繊細なのだ。でなければ職人など長いこと務まるはずがない。
違う。
駄目だ。
そうした言葉をつぶやきながら、清華はいろいろな情報をもとに検索したりして、解決につながるものはないか、ひたすら探した。彼女は祖父に似て、良い意味で頑固なのだ。
「清華、ご飯よ」
何回呼んでも返事がないので、清華の部屋に彼女の母親がやってきて、ドアを開けた。
「清華」
近くから大きめの声をかけたが、清華は椅子に腰を下ろした状態で、固まってしまったようにぴくりとも動かなかった。
「ねえ、どうかしたの?」
「シッ! ちょっと待って」
強く言われ、母親は口を閉じた。
清華は友人から送られてきたメッセージを熱心に読んでいた。今回は自分の力だけでなく、知っている人の多くに助けを求めたのだ。彼女は気さくな性格で顔が広い。ゆえにたくさん情報をもらっていたものの、それまではしっくりくるものはなかった。
「ハー」
大きく息を吐いて、清華は背もたれに体を預けた。
「ようやく見つかったかも」
そう口にし、疲労のなかにも安堵で満たされた表情を浮かべたのだった。
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